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世界を救うのは僕しかいない!?  作者: 灰色蛍
プロローグ
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【第二話】僕の進む道

内容を少し変更しました。



屋上から見下ろす世界は相も変わらず終わっている。

寝て覚めたら元の世界に戻っているんじゃ、なんて考えも初めの二、三日でなくなった。



この世界が終わりを迎えた日。ちょうど二週間前。

何が起こったのか。それを簡単に説明するならばそこら辺のレンタルショップに行って適当なゾンビ映画を見ればだいたい解るのじゃないかと思う。


実際目にしたわけではないが、ありきたりに何処かの製薬会社が危ない薬を開発して世界征服でも企んでゾンビウイルスを蔓延させたか。


若しくは宇宙からの隕石か何かに未知のウイルスがあって、それが爆発的に蔓延したのか。



詳しいところはわからない。残念なことにテレビは砂嵐を写すだけで機能しないし、何とか見つけたラジオもマトモに放送はされていなかった。それでも憶測や確認の取れてない情報は少しだけ上がっていた。


自衛隊や警察、政府など、国の機関は既に機能していないらしい。


ゾンビ映画を遥かに上回るやられっプリだ。

批判が凄かった。


そんなラジオもほんの四、五日で止まってしまった。放送者が亡くなったか、それどころではなくなったか。




ーーーーーー




僕の学校で起きたことはなんともありきたりな展開だった。

町でパニックが起きたと体育館に集められ、校長がその説明を行う。

そりゃ、町にゾンビが現れて誰彼構わず襲っている状況だ。迂闊に帰らせることもできないし、理由を説明しないわけにもいかない。




その最中だからかはわからないけど生徒の誰かが突然ゾンビになりパニック?そのまま瞬く間に感染の嵐だったのだろう。



街の中を探せば隠れている人がいるかもしれないけど。


大人数で隠れているようなところはこの街にはもうないだろう。



この街だけで言えば、生き残りはもう百人もいないんじゃないだろうか?


完全に憶測だけど。


そんな中をいきる僕。



・・・生きていけるのかな僕。


取り敢えず、今日もいきるために頑張るとしよう。








この学校で生き残ったのは僕だけだった。

緊急の集会で体育館に集められたが、僕は集まって直ぐに僕は屋上に向かった。

街の様子が気になったからだ。

他にも気になった人はいただろうが、屋上には鍵がかかっていて自称天体観測部の僕を除き鍵を直ぐに使える人間はいなかっただろう。

だから、屋上には僕一人だった。



・・・だから、僕一人助かった。


屋上で街の光景に唖然としてしまった僕は下の方から聞こえる悲鳴で我に返った。

なんだなんだと屋上を出て体育館に向かえば、そこはまさに地獄だった。


ゾンビになった人間とそれに喰われる人。戦おうとするもゾンビの数に対処するまもなく喰われていく。


それを見ていた僕は全速力で階段をかけ登り屋上に出て鍵を閉めた。


それでも怖かった僕は給水塔に登り耳をふさぎ膝を抱えた。


僕は逃げたのだ。





何時間そうしていたのかは忘れたが、外は暗くなりあんなに聞こえていた悲鳴もなくなっていた。



僕はゆっくりと立ち上がりなるべく音を立てないように体育館の様子を見るために屋上を出た。


だけど、僕は体育館までたどり着かなかった。それまでの廊下に食い千切られた肉を剥き出しにしたゾンビが徘徊していたからだ。


ゾンビ。最近は映画や小説でもその存在を広く取り扱っているからか思っていた以上にすんなりと飲み込めた。


しかも、徘徊していたのは一体じゃない。

目に見えるだけでも八体。階段に隠れた僕が見えるのはそれだけだったが、たぶんもっといる。


だから、僕は・・・あきらめて屋上に戻った。


そうして朝を向かえ、夢だと思っていたいそれが現実で・・・。


生きるための戦いに出たんだ。



まず僕がやったことはこの学校からゾンビを無くすこと。


そのためゾンビの観察をして、あいつらは早く走れないということがわかった。


それと力も生前より弱いということも。

一度見つかって追われて教室にバリケード作って籠城したのだが、壊されることはなかった。


たまに見る映画なんかでは死んでいるからリミッター的なモノが外れて馬鹿げた力を出すというものがあった。


ちなみに籠城は八時間は続き、耐えられなくなった僕が強行手段に出た。


といっても、バリケード退かして突進、とかではなく。


一体ずつ入れるスペースを作り、そこに入ってきたゾンビから順に常備していたスコップで頭を潰していった。

正直吐きそうなくらい気持ち悪く、全部終わったあとは吐いた。


しかし、このくらいから僕の中の何かは壊れていったんだろう。

なんというか、道徳的な何か?


ゾンビだから殺しても大丈夫。なんていう、自分を守るための言い訳。


しかしながら、実際、そう思い込まなくては罪悪感で自殺してしまいそうだ。


ゾンビには子供から老人まで、男も女もいるのだ。

幸いに知り合いのゾンビには出くわしていないからまだいいが。



でも、こんな風に、ゾンビを倒しながら観察し、なんとなくゾンビの事が解るようになったのが事件発生から一週間くらいだ。


そこから僕は本格的にこの学校からゾンビを無くすことを目指し始めた。



この一週間、学校内を回ってざっと見たところ百体くらいのゾンビが徘徊している。


この学校の生徒は全部で千人近くいるはずだ。それが百体程度となると、他の多くのゾンビは外に出ていったのだろうか?




百体。


ちなみにこの一週間で僕はゾンビを31体倒していた。



・・・。


もちろん、僕は調子に乗った。


のって、のって、50体前後のゾンビに体育館で囲まれていた。


僕ならやれると、良く研いだシャベルを持ってゾンビが一番たくさんいる体育館に乗り込んで。ヒャッハァーッ!!と叫びながらシャベルを振り回していたら五体くらい倒したところでシャベルの柄の先の方が折れた。

ゾンビの地で腐って脆くなっていたのかもしれない。


そんでもって僕はバカのように唖然としてしまい、ゾンビに囲まれた。


僕はダッシュでにげようとしたけど、入り口には先回りしたようにゾンビが現れ、絶対絶命。


窓ガラスを割って外に、ということもできない。

何故なら体育館の窓ガラスにはボールが当たっても良いように鉄格子みたいなのが張り付いているから。


逃げ場はない。

詰んだ?


正直そう思ったけど、生きることを諦められるはずがなかった。


だって口を大きく開けて襲いかかってくるゾンビが凄く気持ち悪いし、あんなのに噛まれたら絶対に痛い。


それにどうせ死ぬのなら美少女の胸に抱かれて死にたい。できることなら巨乳が好ましいがCカップ以上なら許容範囲だ。


ゾンビの中に女子高生でしかも、胸の大きなのを見つけたけど・・・僕はその顔を見て全速力で逃げた。


巨乳でも、うん。顔の肉が削げている娘はちょっとね。




そうして走り回るも、逃げ場はどんどん狭くなっていく。


本当にヤバい。ヤバいヤバいと何か使えるものはと必死に辺りを見回し、僕はあるものを見つけ、最後のかけに出た。


全速力で向かうのはバスケットゴールだ。

その、ネット。


やろうとしていることは簡単だ。


ジャンプしてネットを掴み、よじ登りボードを伝って体育館の二階に逃げる。


因みに二階の窓ガラスには鉄格子がされていない。


つまり、そこから逃げられる。


だけど問題は、


僕がジャンプしてネットを掴めるか。またネットをよじ登れるか。


休み時間なんかに友達とネットに届くか?というジャンプ力の競い合いをしたことがあるが、届いた試しがない・・・。いや、うそ。指先が微妙に触れる。

つまり、届いている。


ただ、今回のこれは届くだけじゃなく、掴まないといけないわけで。


僕死ぬのかなぁ、と再び思ってしまう。

しかしながら僕は助走を着けて勢い良く飛んだ。


やったッ!ネットを掴んだ。


そう。掴んだ。掴んだのだけど。


指が食い込んで痛い。

そんな痛みにモタモタしていたからすぐ近くまでゾンビーズが依ってきていた。


僕、あの栄養ドリンクのCMを思い出し、「ふぅあいっっとぉっーーいっっぱぁっーつ!!」と火事場の馬鹿力を出して登り、ゴールリングに足をかけ、ボード越しに二階に上がる。


そのまま僕は窓を蹴破り、二階から飛び降りて必死に逃げた。


この日のこの教訓を生かし、僕は地道な努力を心がけようと決めた。


取り敢えず、五体以上のゾンビがいたら逃げる。


あと、木の柄のシャベルはもう使わない。








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