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世界を救うのは僕しかいない!?  作者: 灰色蛍
プロローグ
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【第十三話】生存者たち

生存者が要るかもしれない。

そう言った覚悟はしていた。


この前のデパートにだっていたんだ。

この学校にいないとは言いきれない。

だから、ちゃんと覚悟していた・・・。


でも、その生存者が目の前でチュッチュッしてるとか、ごめん。その覚悟はしてなかった。

まるでこの世の終わりに愛し合う男女のように・・・。



僕は何事もなかったようにドアを閉めて帰ろうとしたんだけど・・・


無理矢理開けたドアは上手いように戻らず、しまいにはレールから外れガタンっと音をたてて床へと倒れた。



「「っ!?」」


その音にやっと気付き振り向いた彼らは僕を見て固まった。


え?あれ?・・・え?と、いくつもの疑問が繰り返され、最終的に目をパチクリさせながら固まったのだった。


僕はどう反応して良いのかよくわからず、ここは見なかったことにしようと、倒れたドアを持ち上げ、そのままはめ直・・・せなかったので、立て掛ける形でドアを閉めることに成功した。


「・・・ふぅ、僕は何も見なかった。うん、見なかった」


取り敢えず、先に進もう。僕は何も見なかったのだ。


うん。



「っ、てちょっと待った!?」


せっかく見なかったことにしたのに保健室から慌てて飛び出してくる男子。

飛び出し、廊下をキョロキョロさせて「うっ、」と顔を曇らせる。

彼が目にしたのはゾンビの死体だろう。保健室の前で倒したのだから、まぁそのまま転がっている。


「っ、ちょ、ちょっと待ってくれないか」


なるべく死体を見ないようにしながら男子生徒が僕の方に来る。


「・・・」

「・・・これ、はお前が“助けて”くれたのか?」



あえて、なのか。わざわざ“助けて”くれたのかどうか確認をする彼。


首なしのゾンビを指しているのだろうそれには僕は声に出さず頷く。


男子は目を見開き、「マジ、か」と軽く絶句している。

聞いたはいいけど本気ではなかったのだろう。


まあ、僕も誰かを助けたつもりはなかったけど。



取り敢えず感謝はしているようだけど、この男子の警戒心が上がったようで何よりだ。


「・・・お前は・・・どこから来たんだ?」 「・・・うち(学校)から、かな。パニックが一段落付いたから、外の様子が気になってね」


警戒心が上がってくれたから僕はある程度話すことにした。

警戒心のない人が相手だったら、僕は何も言わずに逃げる。

こんな世界だ。こんな世の中だ。確かに形だけ見れば保健室に追い詰められた二人を僕が救った形になるのだろうけど。


そんな僕が味方だという証拠がどこにあるのだろうか?

可能性の話で言えば、このまま僕がこの男子を殺して女子を襲う、なんて可能性もなくはない。


・・・いや、そんなことはしないよ?僕はしないよ?

でも、こんな世界だ。そう言ったことがあっても不思議じゃない。こんな世紀末みたいな世の中だ。モヒカンを生やしていなくても、トゲトゲの肩パットをしていなくても、悪い奴はいる。


そういう警戒心のない人は信用も信頼もできないししたくない。


その点で言えばこの男子は合格点だろう。完全に上から目線だけど。


でも、いまの状況だけで考えれば僕の方が上であるのは事実。

なので上から目線で語らせてもらおう。


「それで、君たち?はずっとここに?」


「あぁ、世の中がこんな風になっちまってから、大体ずっとな。避難勧告があって体育館に集まったんだけど、そこでパンデミックが起こって・・・あとはこの有り様」


「・・・そうか」


男子生徒の言葉にやっぱりか、と頷く。どこもかしこも似たようなものなのか。

ということは、生き残りはこの男子生徒と女子生徒の二人になるのだろうか?


「二人の他に生き残った人はいなかったのか?」


「・・・いや、最初の騒動のあと結構無事な人たちがいたんだ。でも、ここを離れようって先導した大人がいてな。ほとんどがその人に着いていったんだ」


男子生徒はその時のことを思い出すように語る。

数で言えば二十人ほどの人数が離れたそうだ。

その人たちが未だに生きているのかはわからないが。


「・・・それで残ったのが俺たちと、・・・いや、俺たちをあわせて八人だ」


自分達の人数を言おうか迷い、しかしその数をいう。彼の警戒心的にあまり言いたくはなかっただろう。だがしかし、ここで嘘をついてもあまりメリットがないと判断したんだろう。


「結構生き残っていたんだな」


もう少し少ないと思っていたけど、それでも結構な数だ。



僕の学校など僕を残して全滅だ。もしかするのあの工業高校もそうだったのかもしれない。

モヒカンもリーゼントもゾンビには勝てなかったのか・・・。


「そう言えば名前を言ってなかったな。俺は昭和和也。それと、華子お前も来てくれ」


「う、うん」


保健室に向かって声をかけ、出てきたのは先ほど和也と名乗った男子とキスをしていた女子生徒だ。


「こいつは華子。新治華子っていって幼馴染みなんだ」


「えっと、新治華子です。よ、よろしく」


「あ、ああ、よろしく・・・」


和也の服をちょこんと摘まみ一歩引いて和也の影に隠れるように立つ。これはあれか?キスをしているところを見られて恥ずかしいという意味か、それとも見知らぬ人怖いという意味か。


・・・両方か。


二人が自己紹介をしたのならばこちらもしなくてはいけないか。


「俺は白河朝日。丘上の高校から来たんだ」


「あそこの高校か。・・・他に生存者は?」


和也が遠慮がちに聞く。

僕はどんな顔をしていただろうか。自分でも良くわからない顔を作りながら首を横に振った。


「僕一人だけ・・・だよ」


僕一人だけが逃げて、逃げ延びて、全部見捨てた。


こうして確認したからこそ、苦しくなる。

全部忘れていたい。



「そうか」


和也は短くそう返して苦い顔をした。




「取り敢えず、この後朝日はどうするんだ?」


「んー、ここに来た目的自体は生存者探しだから、達成だけど、取り敢えず適当にその辺りブラブラして帰るつもり」


「・・・こんな世の中でいうセリフじゃないな」


「うん。僕もそう思う」


自分でいっておいてなんだけど。

実際、生存者がいたからといってどうしようとかは考えていないのだ。


ただ、自分以外にも生きている人がいる、というのを確認したかっただけなのかもしれない。


「そうか、それじゃ、俺たちのところに寄っていかないか?俺たち以外にも生存者がいたっていうのは嬉しい知らせになるし」


「・・・いいのか?」


先ほどまでの警戒心から誘っては来ないと踏んでいたけど。

和也の目を見て言葉とは別で問う。



こちらの目を真っ直ぐ見つめ返し、そして頷いた。


「あぁ、助けてくれたお礼もちゃんと言いたいしな」










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