【第十二話】僕は何も見ていない
たこ焼き五十個分の元気を使い果たした僕にはあのときのテンションを維持できるだけの力はない。
それに加え工業高校で目的のシャベルを手に入れられなかった。それどころか探しすらしなかった。
それもこれも全部あの変態ゾンビが悪いのだ。
僕はプンスカ怒りながら次の目的地でもある私立高校へと向かっている。
途中遭遇したゾンビさんには僕の憂さ晴らしに協力していただいた。
調子に乗って久々に奇声をあげながら暴れたのだけど次々に協力者が来てくれて僕のテンションはうなぎ登りだ。
そんな感じに奇声をあげながら私立高校まで到着した。
流石にここまで来ると奇声を止め静かにする。
私立だけに先ほどの工業高校よりも立派な校門に、オドロオドロした立派な血痕。
“こう”なる前に見たときは綺麗なものだったけど、見事にお化け屋敷もといお化け校舎と化してらっしゃる。
この高校ならもしかしたら生存者が要るかもしれない。
あまり期待は抱かないが、いたときの心構えだけはしておこう。
それでも、校門の影から中を覗くだけで少しだけ分かることもある。
校庭にはまだらにゾンビたちが徘徊し、校舎にも数は少ないがちらほらとゾンビらしき影が見える。
生存者がいない。とは言わないが、昨日のデパートみたいに十人規模ではないだろう。
僕は貯めたテンションを押し静め、気配を消して校舎内へと侵入した。
この学校は自分の学校でないため構造が良くわからない。
だが、外から見た感じだと、四階建てに屋上つき。緩やかな弧を描くような校舎だ。その隣には体育館や専門施設のようなものがあるが、取り敢えずそちらはいいだろう。
僕は一先ず一階から順繰りに調べていくことにした。
「さてはて、生存者は~と」
いない。各教室を周り教卓から掃除ロッカーまで探すが見事にいない。
生存者はいない癖にゾンビは二体もいた。もちろん叩き潰したけど。
一階の半分ほどを過ぎたくらいか、上に付いたプレートから察するに保健室らしきところにゾンビが五体ほど屯していた。
最近少し思うのだけど・・・
ゾンビが少数で固まっているところを見ると、どうしても、こう、ねぇ。
僕は取り敢えずゾンビの首を跳ねていた。
いまの僕にかかれば通常ゾンビの十や二十は雑魚に等しい。
・・・あれ?これっておかしい?
たしか、一週間くらい前は普通のゾンビでも二体相手がやっとくらいだったはず・・・。
あとで落ち着いてステータスノートを書こう。数字が半端ないものになるかもしれないけど。
そう言えば、と。
どうして、こんなところにゾンビが屯していたのだろうか?
保健室前・・・まさかっ!?
誰か中でチチクリあってる、とか。
・・・はぁ、んな分けないか。
僕は自分でバカなことを、と考えながらも、鍵の閉まった保健室を開けた。
因みに力業。
学校のショボいドアくらいならその気になればどうとでも開けられる。
因みに因みに、この力業はドアを軽く持ち上げることによって鍵をずらして、あとは勢いでバンッだ。
それで、バンッしたんだけど。
バンッした瞬間目に入ってきたものは・・・・・・
目の前で口付けを交わす男女だった。




