【第一話】始まりのプロローグ
世界は終わりました。
といったらこれは嘘になるのだろうか?
廃校のようになってしまった自身の通っていた学校の屋上から外の世界を見渡し少年は一人思うのだ。
世界が終わる、と物語なんかでは聞く話だけど。世界が終わるとは何を指すのか。
例えば核兵器を連射させて人類皆死亡とか。隕石落下で地球が消滅とか。青狸が地球破壊爆弾とか取り出すとか。
そんな風になったら世界は終わったと言えるだろう。
なら、これはどうなんだろうか。
ほんの1ヶ月前までそこにはいつもの街並みがあり、人が暮らし、車が走り、電車が動き、街は様々な音に溢れていた。
だが、どうだろうか?
いま目の前に広がる景色は。
車が街のあちこちに乗り捨てられ、壁や電柱にぶつかっている車まである。
電車がいつも走っていたそこにはむき出しの線路が常に顔をだし、街の喧騒は聞こえない。
なのに、街を歩く人だけがそこにいる。
・・・否。
人じゃない。人の姿をした死体。ゾンビ。
映画やマンガではお馴染みのアレだが。白河 朝日の目に移る世界“現実”に確かにそれが存在している。
そう。
ーーーーー世界はいま、ゾンビで溢れ返っていた。
本当にーーーーーーーー。
だから、これはどうなんだろうか?
ゾンビで溢れたこの世界は終わりを迎えたのだろうか?