プロローグ3
「え、ちょ、ふざけんな!」
パッ!と、机を叩いた俺。妹と知りながらやれ!てか?ふざけてる!妹だぞ、倫理的にだけじゃなく、法律的にもダメのはずだ!なのに、目の前のこの子は何を言っている?嫁にし、子供を作れ?ふざけんな!
「お前の文句なんて聞いてない、ただ命令を成し遂げればいい。」
「ざけんなよ!誰がするかよ、そんなこと!悪ふざけもいい加減にしてほしいところだ!」
「ふざけてなんかいない。」
「じゃあ他の男に頼め!俺はやらんぞ!」
「残念ながら、世界中の男はお前しかいなくなった。世界の運命はお前が握ってる。」
またかよ!何が世界中の男はお前しかいなくなったんだよ!ここは現実世界だぞ、アニメでも小説でも、ましてやゲームでもない!そんなことがあるはずがない!
「知るか!」
「......致し方ありませんね。」
こたっこたっと、こちらに近づいてきている。
「ごふぉ!」
そして、思い切り俺を殴った。
いきなりのことにびっくりしながら、俺は飛んで行った。机と椅子を倒しながら、俺は教室の最後端にぶっ飛ばされた。
「これは命令だ、大人しく従え。」
「知るか、そんなーー!」
「フンッ!」
ドスン!今回は思い切り蹴った。腹を、思い切り蹴った。
なんで、なんで俺が......こんな目に合わなくちゃダメなんだよ......
「いいか、健二郎。アタシだっていやだよ?てめぇみたいなクズ野郎に嫁にされるの。」
「じゃあーー!」
「これは姉さまの命令だから仕方なく従った、ただそれだけ。いいか?皆了承してるんだ。おとなしく......」
そして、俺の髪を掴んで......
「従うのだ!」
「ぶふぉ!」
床に叩きつけた。
なんでだよ、なんで俺がこんな目にあわなくちゃいけねぇんだよ!俺が兄さんだろ?そして、お前も俺の妹だろ!?もっと優しくできないの!?
「わかったか、クズ野郎。」
「わかったから、もうやめてくれ......頼むから......」
「フン。」
タッタッタと、ゆっくりと教壇に戻った。
「あ、それと。」
「まだあるのか......」
もういいよ、何でも来なさい。なんでも受け入れてやるから。
「今日の学校が終わったら、速やかに帰宅しておくように。」
「え、なんで?」
「女の子を待たせないで。以上。」
それを言い残して、退室した。
そういえば、名前なんだろう......性格はともかく、顔はかわいかった。体も豊満で......いや、どうでもいいや。あんな暴力女なんて、どうでもいい。
とにかく、妹の一人を嫁にして子供作ればいいだろ?わかったよ......でも、誰にするかは......その前に、皆はどう思ってるんだろ?了承してるって言ったけど、そこに好きという要素があるかどうか......ただ世界を救いたいだけかもしれないだろ?
「よし、決めた。」
片っ端から聞けばいいだろ?本当に俺が好きな人だけ嫁にする。それが俺にできるたった一つの優しいことですよね?
.........
......
...
「はぁ......」
放課後、帰り道でただ嘆くだけ。
予想通り、皆俺のことあんまり好きじゃないらしい。結構前からの知り合いである天取は「にぃにのことが好きかどうか、だって?そりゃ......立たない男性は嫌い、かな......?」って言った。すまなかったな!立たないのは酒はいってるからだよ!決して俺は不能ってわけじゃないんだよ!
プリスティンは「ブラザーがなんか頼りなさ過ぎて、さすがにヘイトまではいかないけど......なんか
あれだろ?」って言って......あれって何だよ、マジで......でもまぁ、嫌いじゃないのはうれしいかな?
宇田ちゃんは「お兄ちゃんのことは好きだよ?でも、結婚したいとの好きとはまた違うような......あわわ、でも、決してしたくないってわけじゃないからね?でも、したいってわけでもないからね?」
どっちだよ......どちらかにできないの?でも、まぁ、うれしい気持ちになったからおkにしとこう。
そして、今。俺は、家の前に立っている。これは何だ?っと聞くまでもなく、女の子がこちらに近づいてきた。
「お兄ちゃん早いね!ごめんね、工事もうすぐ終わるからそこで待ってて!」
「工事?何やってるの?」
「えっと、確か......」
首を傾げて、しばらくしたらポン!と、手を合わせて言った:
「今日は部屋拡張の工事だったはず!んで、明日は風呂場を露天風呂にする工事があるのよ!期待しといてね!」
「は、はは......期待しとくわ......」
部屋拡張?なんで?誰がうちに来るの?それも、結構長い時間で......で、明日は露天風呂?家にそんな金ないぞ?誰だよ、頼んだの。
「それで、誰が頼んだの?家にそんな金ないはずなのに......」
「確か......大統領閣下......っていう人らしいけど、知り合い?」
「え、大統領閣下?あの大統領閣下!?」
「いや......ニックネームって書いてあるからたぶん違うと思うよ?まぁ、知り合いじゃなかったら仕方ないか。」
「なるほど。あの大統領閣下じゃなかったのね、よかった。」
もし、あの大統領閣下が頼んだのならどうしようかと......でも、大統領閣下って誰だろう......
その答えは、次の瞬間でわかった。
「まだか、早くせんか!」
「うわ......この声は......」
「あ、兄様!」
「うわ、ちょっと、いきなり抱きつくな!」
その子は金ぴかなツインドリルの髪をしてる。真っ赤なドレスを着て、足にはヒールを履いてある。
この子は自称大統領の「新井 星輝」。周りはいつも従者がついてるけど、今日は見当たらないな......前まではその従者達のせいで、本当の大統領に見えなくもなくなった。
初めて会ったのは去年かな?家に帰る途中の川辺で見かけたときはぼろぼろな服着てた。そのおかげで見つけたのもあるけどね、さすがにそんなぼろ衣服着てる子見かけたらほっとかないだろ?それで懐いて、それ以来時々うちに来るようになった。
普段はおとなしい性格だと聞いたが、なぜ一緒にいるときだけこんな甘えん坊になるだろうって、いつも従者に聞かれてる。
「ごめんね、星輝ちゃん。うち、今工事中だから入れないの。」
「うん!星輝がやれって言ったからね!」
「え、星輝が?」
「そうだよ?」
「で、何のためだ?」
「うん?ここに住むのよ?」
「え」
「え?」
「あれ?あの子言ってなかったの?」
「あの子?」
「うん!あ、ちょっと待ってね。こっち来て!」
「お呼びでしょうか、姉さま。」
トサッと、音を立てながら急に現れた「あの子」は星輝に跪いてる。
銀髪で、背はそこまで高くない。体は豊満で......まさしくあの子だ、今朝のあの子だ!
「お、おまえは!」
「言ってなかったの?星輝がここに引越しするの。」
「えぇ、姉さまが言うなって言ったので。」
「え、ちょ、俺の意見は?」
「アンタなんかの意見が必要か?姉さまと同居できるから、むしろ感謝すべきだと思うが?」
「コラ、綺羅ちゃん!兄様にそんな態度はだめですよ?」
「はっ、失礼しました。」
また星輝に跪き、そして俺には目もくれない。いや、正確に言うとちょっとだけこっち見てる。めっちゃ俺のことを睨んでる。
俺、なんかしたの?なんでそんな目で見られなきゃいけないのよ!?
「へぇ、お前、名前は綺羅って言うんだ。」
「......」
それを聞いて、綺羅がこっちを睨んだ。お、俺がどうしたの?なにか気に触るような事言ったのか?
「綺羅で呼んでいいのは姉さまだけだ、アンタに呼ばれたくない。」
「こーらー!綺羅ちゃんまたそんな事言って......ごめんね、兄様。うちの綺羅ちゃんがこんな失礼な事を......」
「失礼ではない!むしろアレのほうが失礼だと思う。勝手に人を呼び捨てするのはさすがに失礼なのではないのだろうか。」
「それでも丁寧に言えばいいでしょ?兄様は優しい人ってこと、綺羅ちゃんもよーく知ってるだろ?」
「むぅ......」
ん?どういうこと?俺は優しい人知ってるの?いやいや、俺なんかぜんぜん優しくないから、間違わないようにしてほしい。てか、なんでそう思ってるのよ、星輝。
「失礼しました。私、佐倉 綺羅と申します。以後、佐倉さんとお呼びなさい。」
「なんでさん付けしないといけないの?」
「身分的に私のほうが尊いと思うからです。」
「は!?」
「いくら綺羅ちゃんは星輝の専属護衛とはいえ、世界中たった一人の男のほうが尊いのは綺羅ちゃんもわかってるでしょ?」
「いいえ、男だからこそ下賤です、男は誰も性にしか目にないと聞きました。」
「うっ!」
まぁ、あのクソ親父のせいだろうけど、そんな事言われたらさすがの俺でも傷つく。俺も性にしか目にないってことでしょ?俺はそんなクズな男じゃない!ちゃんと愛情も目に入ってるからだ!あとゲームもな!
「でも、そっちのほうが逆に好都合でしょ?今の星輝たちに必要なのは男の子種だから。」
「そうは言っても、姉さまをこんな獣のうちに放り込むのは些かおろかなのでは?しかもほかの女の子も一緒に、だなんて......」
「え、今、なんて?」
「貴様と関係ないことだ、引っ込んでろ!」
「はい、すみません......」
な、なんなんだよこの子!怖いよ!俺が何をしたって言うのよ、何で俺にこんな態度取るのよ!他の子にはどんな態度取るかはわからないけど、星輝にはあんなに優しいのに、何で俺にはこんなの!?
いやいや、今はそれを考える暇などないよね、俺!?さっきこいつが何を言ったの?他の女の子も一緒ってどういうこと!?
「ひとつ聞いてもいい?星輝ちゃん。」
「いいよーどうしたの?」
「他の女の子も一緒って、どういうこと?」
「それはですね......」