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濃密な草木のかおりと、

噎せ返るほどの死臭。


木々という生命の息吹が濃い場所で、

その息吹を終えいく者たちが打ち捨てられている。


鬱蒼たる死の肉林。

土にまみれた古い骨と、

血にまみれた新しい骨。


そこに佇む一人の少女。

乱雑に切られて束ねられた髪は、炎のような暁色。

傷つき泥にまみれても瑞々しさを失わない

肌の色は濡れた土のような褐色。

漆黒のロングコートに包まれた肉体は、

起伏に少ないがしなやかで、強い生命力を感じさせる。


しかし足元の肉塊を見下す紫の瞳は、

眠りのように昏い闇を宿していた。



まるで、凍える炎のように。



それは足元に転がる死肉と同じだと沙華は思っている。

かつては熱を持っていたが、今はもう熱を生まず、腐敗する

だけの何か。


それでも沙華は戦っていた。

腐ることも、

朽ちることも叶わぬまま。

冷え切った憎悪を抱えて。



――でも、それも今日、ここで終わると良い。



遠く、荘厳なカリヨンの音が響く、美しい翠の

木洩れ日が煌めく空を見上げながら、

沙華は祈るようにそう思った。


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