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ピエロ  作者: 劉・小狼
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 そのまま、入院した吾郎はすぐに良くなり、2日ほどし、

退院した。

 「数日、(会社を)休んだら?……」

 篤子の強い勧めもあり、念のために数日、吾郎は

会社を休むことにした。

 吾郎の食事の用意をし、篤子が働きに行った後、

吾郎は家ですることがなく、暇を持て余していると

真夜中の公園で会ったピエロ【道化師】の言葉を

ふと、思い出した。


 『一体、俺が何をしたのだろうか?……

あのピエロは何を知っているのだろうか?……』


 有り余る長い時間の中で吾郎は必死に考えたが

 どうしても答えがでなかった。

 吾郎が真剣に考えていると突然、玄関のインターホンが鳴った。


 『だ、誰だ?……』


 ごろうが恐る恐る、玄関のドアののぞき窓から玄関の外を見ると

そこには帽子を目深【まぶか】に被った女性が立っていた。


 『誰?……』


 吾郎は真夜中のピエロのこともあって、玄関のドアを開けるのを

躊躇【ちゅうちょ】していたが勇気を持って、

恐る恐る、玄関のドアを開けた。

 吾郎が玄関のドアを開けるとそこには帽子を目深に被り、

俯【うつむ】いた女性というより、女の子と言った方が

いい者がちょこんと立っていた。

 「だれ?……」

 吾郎が目の前に突然、現れた女の子に声を掛けようとすると

 「元気?…… 薬はちゃんと飲んだ?……」

 逆に女の子の方から吾郎に話しかけてきた。

 その声に吾郎はどこか、聞き覚えがあった。

 吾郎がきょとんとし、目の前の女の子を見ていると

 「もう! まだ気付かないの?……」

 目の前の女の子は少し怒り出し、目深に被っていた

帽子を取った。

 吾郎の目の前に現れたのは夏海だった。

 目の前に突然、夏海が現れたのにびっくりしながら、

吾郎が

 「ど、どうして?…… キミがここに?……」

 夏海に尋ねると夏海はいそいそと吾郎の家の玄関に

上がると

 「奥さんに頼まれたの…… あなた【吾郎】が

心配だから見ていてほしいって……」

 吾郎にそう告げると一人でリビングへと向かった。


 『奥さん?……』


 吾郎は夏海が言ったことがすぐにはピンと来なかったが

篤子のことが頭を過ぎり、

 「奥さんって…… 篤子のことか?……」

 独り言のように呟くと一人でリビングに行った

夏海の後を追いかけた。

 吾郎がリビングに来るとすでに夏海はリビングの

ソファにどっかりと腰を下ろし、

 「へぇー…… あの人のこと、そう呼んでいるんだ!……」

 吾郎に皮肉たっぷりにいった。

 「ち、違うんだ!……」

 吾郎は慌てて、否定しようとすると夏海は吹き出して

笑いながら

 「わ、わかっているわよ…… 話は全部、奥さんから

聞いているから…… それより、昼食、食べた?」

 吾郎に話し掛けてきた。

 夏海に呆気に取られながら

 「いや…… まだ……」

 と言った途端、吾郎のお腹がグ~と鳴った。

 夏海は吹き出し、笑いながら

 「食事にしましょう!」

 キッチンに立つと昼食の用意を始めた。

 そんな夏海を吾郎はただただ、呆然と見詰めるだけだった。

 そんな吾郎を後目に自分の家のキッチンのように手際よく、

昼食の用意をした夏海は

 「さあ。食べましょう?……」

 吾郎と共にキッチン前の机に座り、昼食を食べた。

 食事が終わると夏海は

 「はい! お薬、飲んで!……」

 吾郎の前に水の入ったコップを置いた。

 「う、うん……」

 吾郎は夏海に言われるまま、もらった薬を飲んだ。

 お腹が満腹になり、薬を飲んだせいで吾郎は急に

眠気に襲われ、そのまま、ソファで眠った。


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