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ピエロ  作者: 劉・小狼
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 8

 ピエロの滑稽なメイクとしゃがれ声が吾郎に

余計に恐怖を感じさせた。

 吾郎が少し怯えながら

 「一体、わたしの荷を知っていると言うんだ?……」

 目の前にいる、ピエロ【道化師】に聞くとピエロ【道化師】は

吾郎に怪しく微笑みながら

 「キミは覚えていないのかね?…… キミがしたことを……」

 と言った。


 『僕がしたこと?……』


 「一体、どういうことだ!?」

 僕がピエロに聞いた途端、また吾郎は頭が割れんばかりの

痛みに襲われ、その場に蹲った。

 「キミがしたいことを思い出したいなら、

キミの記憶を取り戻すことだ!……」

 ピエロは吾郎にそう言い残すと吾郎の前から立ち去った。


 『僕の…… 記憶を…… 取り戻す?……』


 吾郎は立ち去っていくピエロを見ながら、

そのまま気を失った。

 次に吾郎が気がついたのは病院の診療室のベットの上だった。


 『ここはどこだ?……』


 自分が今、どこにいるのかわからず、まだ意識が

朦朧としながら、吾郎が辺りを見廻していると

吾郎が気が付いたことに気が付き、夏海がベットで

横たわっている吾郎を覗き込みながら

 「だ、大丈夫?……」

 吾郎に話しかけてきた。


 『彼女は今朝の……』


 吾郎がまだ朦朧としている意識の中で夏海のことを

思い出していると

 「せ、先生!…… 気が付きました!……」

 夏海は診察室の奥に向かって、大声で叫んだ。

 すると、診察室の奥からナースと共に白衣を着た

イケメンの鮫島が現れた。

 鮫島は吾郎の簡単な診察を終えると

 「もう大丈夫!…… でも、用心のために

数日、入院をしてもらうよ!……」

 吾郎を見ながら、いうと

 「あなた!……」

 吾郎がいる、診察室の中に慌てて、篤子が駆け込んできた。

 「あなた、大丈夫?……」

 篤子はすぐさま、吾郎のそばに寄り添い、ベットに

横たわる吾郎を心配した。

 吾郎と篤子の姿を見た、夏海はバツが悪そうに

診察室の端にそっと身を隠した。

 視線から夏海の姿が消えたことに気付いた吾郎は

 「わ、わかったから…… 数日、入院だそうだから

手続きをしてきてくれ!」

 鬱陶【うっとう】しく自分に纏【まと】わり付いている

篤子を自分から離すと入院手続きをしてくるように言った。

 「わ、わかったわ!……」

 篤子は素直に従い、診察室から出て、

吾郎の入院手続きに向かった。

 やっと、吾郎と再び、二人になれた夏海だったが

今、出て行った篤子のことが頭を過ぎり、

 「じゃあ…… わたしは帰りますね?……」

 と言い、吾郎のいる、診察室を後にしようとした。

 吾郎はまだ色々と夏海に話を聞きたくて

 「ちょ……ちょっと待ってぇ!……」

 夏海のことを呼び止めた。


 『え?……』


 夏海は立ち止まり、驚いた顔で吾郎の方に振り返った。

 吾郎は少し真面目な顔をし

 「ちょっと、聞いて良い?」

 夏海に話しかけた。

 夏海はびっくりした顔のまま、

 「ええぇ…… な、なんでしょ?……」

 と言った。

 吾郎は真面目な顔で夏海のことを見詰めたまま、

 「なんで…… キミはここにいるの?……

確か、僕は自宅の近くの公園にいたはず、なんだけど……」

 夏海に言うとドキッと顔をし、夏海は

 「えーっと…… 友達とカラオケに行った帰りに

たまたま、通り掛った公園であなたが倒れていて……」

 おどおどしながら、吾郎に答えた。

 吾郎は夏海が自分の前に突然、現れた

ピエロ【道化師】じゃないかと少し疑いつつも

 「そうなんだ…… あ、ありがとう!……」

 夏海にお礼を言った。


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