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ピエロ  作者: 劉・小狼
7/41

 7

 マンションの自宅に戻った吾郎はリビングのソファで

いつの間にか、眠ってしまった。

 「あなた、あなた……」

 吾郎は女性の声と共に身体を揺さ振られる感触で

目を覚ました。


 『だ、誰だ? 俺のことを呼ぶのは?……』


 吾郎がまだ眠い目を開けると自分の体を揺すっている

篤子の姿があった。

 「あなた。どうしたの? こんな所で寝たりして?」

 篤子はまだ寝ぼけている吾郎に心配そうに声を掛けた。

 「ああぁ…… ちょっと具合が悪くて、会社を休んで

寝ていたんだ……」

 吾郎が具合悪い声でそう答えると

 「そうなの…… でも、こんな所で寝てないで

奥でゆっくりと休んだら?」

 「そうだなぁ…… 奥で休むよ……」

 吾郎が立ち上がり、奥の寝室へと向かおうとすると

 「ねぇ、薬は飲んだ?……」

 篤子は吾郎に薬を飲んだかを聞いた。

 「薬はもらってきたけど…… まだだ!」

 吾郎は元気なく、答えると

 「何か、軽い物を作るから食べて、薬を飲んでから

休んだら?」

 篤子はキッチンに立ち、軽い食事を用意を始めた。

 「ああぁ…… そうするよ……」

 吾郎は篤子にそう言うと再び、ソファに腰掛けた。

 篤子がすぐに用意した軽い食事を食べた吾郎は

夏海の父親の弘三からもらった薬を飲み、寝室で休んだ。



 どれ位、眠っただろうか?……


 吾郎が目を覚ますと漆黒の闇が支配する夜になっていた。


 『夜か?……』


 吾郎がため息をつき、横に目をやると篤子が吾郎の横で

スヤスヤと寝息をたて、眠っていた。

 吾郎は隣で気持ち良さそうに眠っている篤子を起こさないように

ベットから這い出るとまだ鈍い痛みが残る頭を抱えながら、

静かに隣の部屋に移り、ソファに腰掛けた。


 『一体、僕はどれ位、眠っていたのだろうか?……』


 吾郎がソファに腰掛け、そんなことを思っていると

突然、吾郎の携帯電話にメールが届いた。


 『わぁ!……』


 一瞬、メールが着たことに驚いた吾郎だったが

マナーモードにしていたせいで隣の部屋で寝ている

篤子を起こすことはなかった。

 だが、メールを報せる光は怪しく、点滅し続けていた。


 『な、何だよ!…… 誰からだ?……』


 吾郎は怪しげなメールを恐る恐る、開いてみた。


 『君のことを知るピエロ【道化師】より!……

自分のことが知りたいなら、***に来い!』


 そのメールの内容は何とも不可思議なメールだった。

 だが、何か気になった吾郎は真夜中だったがピエロ【道化師】と

名乗る者が指定してきた場所に家を抜け出し、向かうことにした。

 ピエロ【道化師】が指定した場所は吾郎の住んでいる

マンションからそんなに離れていない歩いて、2・3分の公園だった。

 吾郎は公園の中でピエロ【道化師】が現れるのを待った。

 だが、いくら経ってもピエロ【道化師】と名乗る者は

吾郎の前に現れなかった。


 『イタズラか?……』


 吾郎は少しがっかりし、家に戻ろうとしたその時……

 「やっぱり、来たね!……」

 吾郎の後ろからしゃがれ声が聴こえてきた。


 『え?……』


 突然、聴こえてきたしゃがれ声に驚き、吾郎が後ろを

振り返るとそこには滑稽なメイクをした、いかにも

ピエロ【道化師】という格好をした者が立っていた。

 吾郎は少し怯えながら

 「一体、キミは何者だ?……」

 目の前のピエロ【道化師】に話しかけるとピエロ【道化師】は

怪しげにニヤリと微笑みながら

 「わたしはピエロ! キミのことを知る者さ!……

キミも自分のことが知りたいからここに来たのだろう?」

 しゃがれ声で答えた。


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