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ピエロ  作者: 劉・小狼
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 数日、考えた吾郎だったが答えが出ず、浅葱のもとを訪れ、

夏海から聞いた話を話した。

 初めは驚いていた吾郎だったが暫くして、浅葱が

言った言葉は驚くものだった。


 「このままじゃダメか?…… 意外とこの身体、

気に入っているんだ……」

 浅葱の言った言葉と吾郎の考えはまるで同じものだった。

 「良いのか?……」

 吾郎は驚きながら、浅葱に再び、訊くと浅葱はあっさりと

 「ああぁ…… 良いさ!その代わり……」

 と承諾したが条件を一つ、吾郎に出した。


 浅葱が出した条件は……


 二人の諮問情報を復活させることだった。

 それは二人にとっても大事なことだった。

 「わ、わかった!……」

 吾郎は浅葱からの条件を飲み、すぐに宮間の

部下の基山に連絡をした。

 吾郎から連絡を受けた基山は初めは驚いたが

上司である宮間と相談し、

 「わかりました! 何とかしてみましょう!」

 吾郎の頼みを承諾した。



 数日後。


 基山の友達の警視庁のエリート警視らの特別な計らいで

吾郎と浅葱の入れ替わっている指紋情報などを訂正された。

 基山から自分らの情報が回復されたことを聞いた

吾郎は再び、浅葱のもとを訪れた。

 だが、すでに浅葱の姿は何処もなかった。


 『どこに行ったんだ?……』


 吾郎が辺りを調べるとそこには

 「これからはそれぞれの人生を楽しもう!」

 と書かれた紙が一枚、置かれていた。


 『やられた!……』


 吾郎は一瞬、そう思うも

 「まあ良いか! もう会うこともないし……」

 浅葱からの置手紙を丸めるとゴミ箱に捨てて、

その場から立ち去った。

 吾郎は大きくため息を吐くと

 「さて。彼女【夏海】でも迎えに行きますか?……」

 独り言を呟き、夏海が入院している病院へと向かった。

 吾郎が夏海の病室に着くと担任の許可が下りた

夏海は一人寂しく、帰り支度をしていた。

 吾郎は途中の花屋で買った花束を夏海の前に

差し出しながら

 「お姫さま。お迎えに上がりました……」

 夏海に微笑んだ。


 『え?……』


 驚く夏海に吾郎は優しく微笑みながら

 「さあ。一緒に帰ろう!」

 と夏海に言った。

 あまりの嬉しさに夏海は瞳に涙を溜めながら

 「うん!……」

 と頷いた。

 涙を浮かべている夏海を見て、吾郎は

 「どうしたの? なにか、いけないことを言った?」

 不安そうに夏海に尋ねると夏海は涙を拭いながら

 「なんでもない! 嬉しいだけ……」

 というと照れくさそうに帰り支度を続けた。

 吾郎は夏海を車に乗せ、夏海の家まで車を走らせながら

 「退院した事だし…… 怪我の療養にどこか、

温泉でも行こうか?……」

 夏海に話し掛けた。


 『え?……』


 あまりの突然のことに驚く夏海を後目に吾郎は

 「どこが良い?……」

 さらに夏海に話し掛けた。

 あまりの突然のことに夏海が驚き、固まっていると

 「どうしたの? 温泉はイヤ?……」

 吾郎は少し心配そうに夏海に優しく、声を掛けると

吾郎の声にハッと我に返った夏海は慌てて、

 「ゆ、湯布院が良い!」

 吾郎にそう答えた。

 「湯布院?…… あの九州の?……」

 夏海が発した場所に吾郎は驚いた顔をしながら、

夏海に聞き返した。

 夏海は不安げな顔をし、

 「だ、ダメ?……」

 と吾郎に訊いてきた。

 「いや。ダメじゃないけど…… 本当に由布院で

良いの?……」

 吾郎は首を横に振り、夏海に再び、確認した。

 すると、夏海は

 「うん!」

 可愛く、頷いた。


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