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一瞬、吾郎のことを宮間は再び、困った顔で
パソコンのディスプレイ画面を見ながら
「ああぁ…… このパソコンの中に何か、
隠れているようななんだが……」
と言ったディスプレイ画面には
『パスワードを入力してください!』
という文字が出ていた。
吾郎はそんなパスワードがわかるはずもないと思ったが
パソコンのディスプレイ画面を見た瞬間、頭の中に
自分の誕生日の日付が浮かんだ。
『まさかなぁ?……』
吾郎はそう思いながらも
「ちょっと良いですか?……」
宮間を退かし、パソコンが置いてある机に座ると
パソコンのキーボードに指を置き、ため息をつくと
自分の誕生日の日付を入力した。
入力が終わり、吾郎が最後にキーボードのEnterキーを押すと
ピッ!
という音と共にパソコンが立ち上がり、パソコンが起動した。
『な、なんだ! これは?……』
吾郎と宮間はそのパソコンの中のデータを見て、驚いた。
そのパソコンには吾郎に関することや吾郎が集めた
色々な会社内の情報などが色々と入っていた。
そのデータの中には茉里が書いた日記らしきモノもあった。
『このパソコンを調べたら、僕のことも
色々とわかるかも?……』
吾郎がさらにパソコンを触ろうとすると
「おっと、そこまでだ!…… ここから先は
我々の仕事だ!……」
宮間hそれ以上、吾郎にパソコンを触らせなかった。
数日後。
吾郎は企業スパイのことなどを色々と宮間の勤めている
警察署で訊かれた。
だが、吾郎の記憶も戻っていないし、証拠なども
不十分だった為に一旦、吾郎は帰されることになった。
その帰る前、宮間は今回、協力をしてくれたお礼に
まだ捜査の途中だったが特別に吾郎に茉里の部屋にあった
パソコンのデータのコピーをくれた。
吾郎はすぐにでもそのデータのコピーの内容を確認しようと
思ったが自分の家には包帯の女性や夏海が戻っていることを
思い出し
『さすがに家でこれを観るのはまずいかぁ……』
と悩んだ末に浅葱の探偵事務所でそのデータのコピーを
観ることにした。
データのほとんどは会社から盗み出したデータと
吾郎に関することだった。
吾郎に関するデータは吾郎が知っていることと
あまり変わらなかった。
ただ一つを除いて……
だが、そのデータには何重にも頑丈なロックのガードが
掛けられていて、データを簡単に見ることはできなかった。
そのロックのガードを解除するにはいくつかの
パスワードが必要だった。
吾郎はそのロックのガードを解除しようと思いつく限りの
パスワードを試みてみたがすべてダメだった。
『やっぱり、ダメかぁ……』
諦めた吾郎は先に茉里の日記らしきモノをを観ることにした。
その茉里の日記らしきモノにはガードが掛けられたおらず、
簡単にその日記らしきモノの内容を観ることができた。
それはまさしく、茉里の日記だった。
吾郎は何か、いけないことをしているようで少し気が引けたが
『俺のことを知るためだ!……』
と思い直し、茉里の日記を読み始めた。
その茉里の日記に書かれていたことは会社の資料課の聡子が
教えてくれたこととまるで同じだった。




