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吾郎は焦った顔で
「ば、バカを言わないでくださいよ!……
僕がここに来た時にはすでにここはこうなっていたんですよ!」
と言って、強く否定をすると宮間は荒らされた
浅葱の探偵事務所内を見廻しながら
「でしょうね…… で、ここの住人は?」
吾郎に浅葱の居場所を聞いた。
「さあ…… 何度も言いますが…… 僕がここに来た時には
すでにここの人もいなく…… ここもこうなっていたんですよ!」
吾郎は少し切れ気味に宮間にそう言った。
宮間は浅葱の探偵事務所内を見廻し続けながら
「そうですか……」
何か、奥歯にモノが挟まった物の言い方をし、
困ったように頭を掻いた。
色々と捜査をした結果、浅葱の探偵事務所内のドアと
ソファの辺り以外からは吾郎の指紋が出なかったことで
吾郎の疑いは少し晴れ、一応、解放された。
解放された吾郎が自宅へととぼとぼと歩いて、
帰りながら
『一体、どういう意味なんだろう?……』
浅葱から送られてきたメールを見ていると
突然、吾郎の携帯電話にまたメールが送られてきた。
突然、送られてきたメールにびっくりし、吾郎は
手に持っていた携帯電話を落としそうになるも
恐る恐る、メールを開くと
『キミは一体、何者だ? キミは本当にキミなのか?……』
という、内容の浅葱からのメールだった。
『はぁ? 何を言っているんだ?』
吾郎は浅葱から送られてきたメールの意味がわからず、
戸惑っているとさらにメールが送られてきた。
『私は相良吾郎! キミは誰だ?……』
『はぁ?……』
吾郎は再び、遅れてきた浅葱からのメールの意味が
わからず、混乱した。
『え? アイツ【浅葱達哉】じゃないのか?……
アイツ【浅葱】が相良吾郎なら、俺は一体、誰なんだ?……』
吾郎は訳がわからなくなった。
その時だった。
キーン!……
いつもの頭を締め付けるような痛みが吾郎を襲った。
『ま、またか!……』
そう思うも吾郎にはどうすることもできず、吾郎は
そのまま、気を失った。
気が付くと吾郎は弘三の診療所の診察室のベットの上に
寝かされていた。
吾郎は一瞬、自分が何処にいるのかわからず、
ぼんやりとした意識の中で
「ここは?……」
と呟いた。
吾郎が気が付いたことに気が付いた弘三は
吾郎のことを覗き込みながら
「おぉ!気が付いたか!…… 大丈夫か?……」
吾郎に声をかけた。
吾郎はまだ意識がぼんやりしたまま、
「ええぇ…… ここは?…… 私はどうしてここに?」
弘三に訊いた。
弘三は意識を取り戻した吾郎の診察などを
色々としながら
「捜査の帰りの刑事【宮間】が道端で倒れている
キミを発見したので…… その刑事がわたしの所に
運んで来たのだよ…… 何があった?……」
吾郎に何があったかを訊こうとすると
「だ、大丈夫?……」
慌てて、吾郎らがいる父の診療所の診察室の中へと
夏海が駆け込んできた。
「こらぁ! まだ診察中だぞ!」
診察室の中に慌てて、入ってきた娘である夏海を
弘三は叱ったが夏海は吾郎が寝ているベットの脇に座り込み、
「大丈夫?……」
心配そうに吾郎の手を掴んだ。




