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ピエロ  作者: 劉・小狼
18/41

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 『仕事かな?……』


 吾郎はさほど気にしなかったがその日は篤子は家には

戻って来なかった。


 『あれ? おかしいぞ?……』


 吾郎が篤子が戻ってこないことに不審に思っていると

突然、吾郎の携帯電話の着信音が鳴り響き、

一通のメールが届いた。


 『篤子からかな?……』


 吾郎が篤子からのメールとの思い、メールを聞くと

そのメールは怪しげなピエロの姿の写真と共に


 『貴様の奥さんは預かった! ピエロ』


 と書かれていた、あのピエロからのメールだった。


 『何かの悪戯か?……』


 吾郎はすぐに篤子に電話を掛けたが篤子の携帯電話に

電話は繋がらなかった。

 吾郎は篤子の勤めている会社に電話を掛けたが

 「そんな人はうちの会社には勤めていませんよ!……」

 という答えが返ってきた。


 『はぁ?……』


 吾郎はわからなくなった。


 『一体、昼間、篤子は何処に行って、

何をしていたのだ?……』


 考えれば考えるほどわからなくなった吾郎だったが


 『今はとりあえず、彼女【篤子】を捜さないと……』


 と思い、宮間のいる警察署に電話を掛けた。

 宮間が吾郎の応対をしてくれたが宮間は顔が

グシャグシャの女性の対応などで吾郎の応対どころじゃなく、

 「話はわかりました…… すぐに捜査を開始しますから……」

 というと一方的に慌しく、電話を切ろうとした。


 『女性の行方不明?…… ちょっと待てよ?……』


 宮間は吾郎が言った篤子という女性が行方不明に

なっていることに何か引っ掛かり、

 「相良さん…… ちょっと、見てもらいたい女性が

いるのですが?……」

 電話を切りそうになった吾郎に慌てて、声を掛けた。



 翌日。


 宮間は顔がグシャグシャにされた女性が入院している

病院へと吾郎を連れて行った。

 吾郎の目の前にいるのは包帯が顔中にグルグル巻きにされ、

男性なのか女性なのか、まるでわからなかった。

 宮間から目の前の包帯の者が女性であることを聞かされたが

それでも吾郎には目の前の女性が誰なのか、わからなかった。

 顔中を包帯でグルグル巻きにされている女性を見ながら、

吾郎が少しゾッとし、言葉を失い、固まっていると

 「どうですか?…… 奥さんではないですか?」

 宮間は吾郎に話しかけてきた。

 ミイラのような女性の姿に吾郎は完全に言葉を失っていた。

 吾郎らのことに気付いたのか、ベットの上の包帯の女性は

ゆっくりと吾郎の方に顔を向けると吾郎に必死で何かを

訴えかけようとしていた。

 だが、包帯の間から見えた目を見た瞬間、吾郎は

あのピエロと姿が重なり、ゾッとした。

 いや、恐怖さえ、感じた。

 「どうですか?……」

 そんな吾郎に宮間が再び、声を掛けた声で吾郎は

ハッと我に返り、

 「似ていると言えば、似ているし…… あの姿じゃ…… 

わかりませんね……」

 と慌てて、宮間に言った。


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