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ピエロ  作者: 劉・小狼
17/41

 17

 『アイツ?……』


 夏海は首を傾げ、辺りを見廻しながら

 「アイツって?……」

 吾郎に聞いた。

 吾郎はまだ辺りをキョロキョロと見廻しながら

 「ぴ、ピエロだよ…… あの……」

 夏海にそう言った。

 驚いた顔で夏海も吾郎と同じようにキョロキョロと

辺りを見廻しながら

 「この路地では見ませんでしたけど……

一つ、路地を間違えたのでは?……」

 吾郎に言った。

 「そ、そうかも?……」

 少しがっかりし、吾郎は俯いた。

 夏海は少しがっかりし、俯いている吾郎に

なんて声を掛けて良いのかわからず、戸惑っていたが

吾郎が持つ、携帯電話を見つけ、

 「そ、それ…… 私の……」

 と思わず、叫んだ。

 夏海の声にハッと我に返った吾郎は

 「や、やっぱり…… この携帯電話、君のだったか…… 

そのピエロが持っていたのだ!」

 と夏海に言うと夏海の携帯電話を夏海に返した。

 「よかった!……」

  夏海は吾郎から受け取った自分の携帯電話を

ギュッと抱き締めながら

 「話している途中に突然、高校生位の男の子に取られて……」

 吾郎にけいいた電話が盗まれたことを説明した。

 「そうだったのか…… でも良かった!

君も携帯電話も無事で…… 行こうか!」

 夏海の説明に納得した吾郎は目的地に向かって、

再び、夏海と共に歩き出した。


 やっと、吾郎が夏海と共に自分の履歴書に書かれていた

場所に辿り着くとそこはすでに何年も誰にも使われていない

空き家だった。

 吾郎は近くの人達にその空き家の持ち主のことを尋ねたが


 『かつて、可愛い双子の女の子の子供がいる

4人家族が住んでいた。』


 というくらいしか、わからなかった。

 吾郎はさらにその家族のことを聞こうとしたが近くに人達は

口をつぐみ、吾郎の前からいなくなった。

 それでも吾郎が近くの人達にその家族のことを尋ねると

近くの人達は重い口を開き、


 『その家族は…… 父親が突然、亡くなってからは

その家を売り払い、何処かへといなくなった。』


 と答えた。

 吾郎がその残った家族の行方を聞いたが近くの人達は


 『わからない……』


 と首を横に振った。

 困った吾郎はせめて、子供の名前でも聞き出せば、

何かの手掛かりになるかと思い、

 「子供さんの名前は?……」

 近くの人達に子供達の名前を聞いた。


 『わからない……』


 初めは近くの人たちは首を横に振っていたが

最後の一人が家族の苗字と双子の一人の名前を教えてくれた。


 家族の苗字は…… 三戸。

 双子の一人の名前は…… 篤子だった。

 家族の名字を聞いた吾郎は


 『変わった名字だなぁ……』


 と思ったが双子の一人の名前を聞き、

 「篤子ね……」

 と聞き流しそうになったが

 「あ、篤子?……」

 聞き覚えのある名前に驚き、隣にいる夏海と顔を見合わせた。



 その頃。


 吾郎から遥か、離れた東京の片隅で顔がグシャグシャに

傷つけられた女性が発見された。

 辛うじて、命は取り留めたが自分の顔がグシャグシャにされた

ショックで女性は喋れなくなっていた。

 宮間はその女性が誰なのかわからず、困り果てた。


 吾郎は夏海と共に京都に一泊し、東京に戻った。

 「ただいま!……」

 家の中は静まり返り、吾郎は少し不気味さを感じた。


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