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ピエロ  作者: 劉・小狼
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 メモを取りながら、吾郎の話を聞いていた浅葱は

 「なるほど…… 話は大体、わかりました!……

私は貴方のすべてを調べたら、良いのですか?

それともその失った記憶の部分だけですか?……」

 吾郎に聞いた。

 「そうですね……」

 少し考えた吾郎は失った記憶も含め、自分のことが

すべて知りたかったから

 「私の全てを調べてもらえますか?……」

 浅葱にそう言った。

 「わ、わかりました!…… やってみましょう!」

 浅葱は吾郎の依頼を受けた。

 「じゃあ。お願いします!」

 吾郎が浅葱の探偵事務所を帰った後、浅葱は

上着のポケットに仕舞っていた携帯電話を取り出すと

何処かに電話を掛けた。

 「やっぱり、アイツ【吾郎】が来たぞ!……」

 浅葱は電話の向こうの者に自分のもとに吾郎が

来たことを伝えた。

 しばらく、電話の相手を話した浅葱は携帯電話を切り、

大きなため息を付いた。


 『本当にあの者で大丈夫なのだろうか?……』


 吾郎は俯きながら、さっき、依頼した浅葱に

一抹の不安を感じながら、自宅のあるマンションへと

向かっていると突然、正面から人気【ひとけ】を感じた。


 『なんだ?……』


 吾郎が顔を上げると吾郎から数メートル離れた正面に

滑稽なメイクをし、小脇に人間と同じ位の人形を抱えた

ピエロが立っていた。


 『いや……待て!』


 吾郎が目を良く凝らし、ピエロが小脇に抱えている

人形を見ると


 『あれは人間じゃないぞ! 人だ!』


 ピエロが小脇に抱えているのは正真正銘の人間だった。

 しかも、若い女の子だ!


 『あの子、知っているぞ!……』


 ピエロが小脇に抱えている女の子に見覚えがあるのに

吾郎はびっくりした。

 ピエロが小脇に抱えていたのは……

 彩佳にそっくりな悠子だった。


 『どうして、彼女が?……』


 驚いた顔で吾郎がピエロが小脇に抱えている悠子を

見詰めているとそんな吾郎をまるでピエロは

あざけ笑っているかのようだった。

 しばらく、吾郎の正面に立ち尽くしていたピエロは

再び、吾郎をあざけ笑うと悠子を小脇に抱えたまま、

吾郎の前から立ち去った。

 「待てぇ!……」

 吾郎はピエロを追いかけることもできず、

ただピエロが立ち去っていくのを見送ることしか

できなかった。


 昨日のピエロとの出来事なんて、すっかり忘れ、

吾郎がリビングのソファに腰掛け、食後の珈琲を

飲んでいると


 ピンポーン……


 突然、玄関のチャイムが鳴った。

 「はーい!……」

 篤子が玄関に行き、応対をするものの、すぐに

 「あなた!……」

 吾郎のもとに慌てて、戻ってきた。

 ただ事ではないことは篤子の表情からすぐに

わかった吾郎は

 「どうした?……」

 篤子に尋ねると

 「警察の方が…… あなたに聞きたいことが

あるって……」

 青ざめた不安そうな顔で篤子は吾郎に答えた。


 『はぁ?…… 警察?……』


 吾郎は意味がわからなかった。

 篤子の話だけではなるで訳がわからなかった吾郎は

とりあえず、玄関に行くとそこには私服の刑事が

二人、立っていた。

 吾郎が二人の刑事を見ながら、

 「な、何でしょうか?……」

 恐る恐る、二人の刑事に話しかけると刑事の一人が

吾郎を見ながら

 「失礼ですが…… 相良吾郎さんでしょうか?」

 と話しかけてきた。


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