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統制恋愛  作者: 柴田惠祐
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Ⅰ思春期の恋

ピンポーン…ピンポーン…


僕は朝のアラームで目を覚ました。


AIの計算によって導き出された僕にとって最適なアラーム音、最適な睡眠時間のため、非常にスムーズな覚醒で覚醒そのもの対する不快感は一切ない。


二度寝という単語がほとんど使われなくなったのも僕が産まれる数年前で、両親や叔父などに話を聞いた限りでは二度寝というものは気持ち良いものだったらしい。しかし、社会的にも健康的にも広義の悪であるとされてからは、そしてAIによる睡眠管理が健康保険の加入者にとっての義務となってからは誰もが一度でスッキリ目覚める事ができるようになり、その気持ちよさも睡眠不足等による副産物であり、もはや不要なものであると誰もが信じて疑わなかった。


しかし、僕は起きた直後からモヤモヤしていた。

これは覚醒後の不快感ではない。

昨日受けたAIカウンセラーによる「思春期における性的フラストレーションへの対処」にどうしても納得がいかなかったからだ。

もちろんAIにもその事はお見通しなので、起きた直後からアラートが鳴ってしまう。


─ビーッ!ビーッ!ビーッ!精神状態が悪くなっています。すみやかにAIカウンセラーによるメンタルクリニックを受診してください。前回の受診は4月7日です、前回から15日経っています。─


受診日は間違いであった。実際には昨夜、受診していたのだが、受診記録がまだクリニックから届いておらず反映されていないのである。


しかし、アラートを消すには2週間以内のメンタルクリニックを予約しないと消すことができない。また、昨夜のクリニックでも次回分の予約を保留にしていたため、仕方がなく2週間後の夜に設定しようとする。


─祝日ですが問題ありませんか。よろしければ予約を確定させてください。─


確定。

つい、ため息が漏れてしまう。AIがそれを聞きつけ、また反応する。


─覚醒後に不快感がありますか?不快な夢を見ましたか?よろしければメンタルクリニックを予約致します…─


AIへはもう予約済であると回答し、また、ため息が漏れそうになるのをなんとか深呼吸で誤魔化す。


AIもまだ発展途上なのだ。AIよる睡眠管理が始まって20年くらいしか経ってないし、複合的な悩みには適切な判断を下すのは難しい。


そう、まして僕のように17才と若く、多感で精神的に未成熟で、性愛と恋愛の区別がつかない、そして性欲も有り余ったような思春期の男の子の恋の悩みなんて特に。

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