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King of Sords  作者: カピパラ48世
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第09話 14 それでも・・・ショックだぞ・・・

眠りは十年程続くはずだった・・・


「・・・えっ・・・」

シルフィーネの前には目をぱちくりしたヴォルザードがいた。

「あら・・・昔と変わらないわね・・・」

シルフィーネは、あの時の闘いからまるで変わらないヴォルザードを見てそう言った。

ヴォルザードは少々驚いた様子で動かなかったが、気を取り直し、

「・・・いえ・・・」

少々かしこまった口調で

「昨日戦ったばかりですが・・・」

突然来た言葉にシルフィーネが目をぱちくりし、自分の体を確認し始める。

右手を上げ怪我の確認、お腹を押さえダメージの確認、背中の確認をしようとして、体制が崩れ、ベッドにパタッと倒れた。

「ちょ!大丈夫ですか!」

ヴォルザードが咄嗟に駆け寄るが、それに気づいているのかいないのか、ベッドに倒れこんだまま両手を天井に向け上げた。

全ての傷は癒えていた。

「・・・・・・」

何かを呟く

「お姉さん達のことを考えているのですか?」

不意にヴォルザードが声をかけると、シルフィーネはガバッと上体を起こし、大きく目を見開いてヴォルザードを見る

ヴォルザードはそれに気づくと気まずそうな笑みを浮かべると

「・・・レオン・・さんの・・メッセージの中に・・・二人の事が・・・」

そう聞くと、ヴォルザードから視線を外し、誰もいない反対側を見ると

「レオンめ・・・」

恨めしそうに呟く。

「ははは・・・」

乾いた笑いがヴォルザードから聞こえる。

シルフィーネは改めてヴォルザードに視線を戻すと

「違うわよ。今は傷が癒えた要因を考えてたの。」

この感情の無い魔力は・・・レオンでは無い・・・となると、

「・・・シガ・・・」

シルフィーネは思わず右手親指の爪を噛んだ。

「シガさんが助けてくれたんですね・・・。」

小さく呼んだ名前を聞きヴォルザードがそう言う

「そうね・・・でも、シガの気配がどこにも感じられないの。」

広い範囲を検索(サーチ)してもどこにも見つからない・・・

イライラが募ってきた!

「もう!!レオンの馬鹿!!」

ふいに大声で怒鳴る。

「いきなり馬鹿はないだろう!」

部屋の入口にはボロボロの服装になったレオンがいた。

”ちょうど到着するタイミングで怒鳴ったな・・・”

ヴォルザードはそう思ったが、口に出すのはやめることにした。

「そこまで元気だってことは、シガは力を置いて行ったのだな・・・。」

レオンが安心したように言った。指輪の力が発動したのはわかっていた。あれは瀕死の状態になったときに発動するように仕込んでいたのだから、生死に関わる状態まで追い詰められていたことも・・・。

しかし、その言葉を聞きシルフィーネの目つきが変わる

「そうよ!シガは・・・シガはどうなったのよ!」

自分を助けてくれた者がどこにいるのかもわからない、それは明らかに異常だ。

レオンから一部始終が語られる。シルフィーネは肩を落とし、うつむいた。

「何も挨拶無いなんて酷いじゃない!」

悔しくて唇を噛み唸る。そして・・・目の前の空間を睨むように顔を上げると

「400年後・・・覚えてろよ・・・」

淑女(レディ)らしからぬ言葉が聞こえた・・・。

ヴォルザードは黙って苦笑いした。


そして・・・

「全く・・・頑固者だな・・・お前は・・・」

レオンはふいにそう言った。

「なんでよ!!」

頬を膨らませて反論する。レオンはそんなシルフィーネに面倒くさそうに答える

「生きるか死ぬかの瀬戸際にも、あの魔力を使わないんだからな・・・」

シルフィーネはその言葉にあっけらかんと

「あら、でもまだ生きてるでしょ。」

そう返すと、レオンは絶句した。


暫くして・・・シルフィーネがヨロヨロとふらつきながら立ち上がる

「大丈夫ですか?」

ヴォルザードが心配そうに声をかける

「大丈夫・・・よ、魔力も半分くらい戻って来たから!」

シルフィーネはさりげなくそう言うと

「・・・えっ・・・」

ヴォルザードは整理のつかない感嘆符を上げた。

シルフィーネの魔力を感知すると、計り知れない強さと大きさに思えるのだが・・・

「まぁ、あいつの魔力容器としての器は俺でも計り知れないからな・・・。」

レオンが呆れてそう言う。

「あら、人を化け物みたいに・・・こんな美人が、こんなに力を失って、か弱いと思わない?」

とシルフィーネの反論に、レオンとヴォルザードは苦笑いし

「いや、思わない!!」

と声を揃える。

「えっ!なんでよ!!」

シルフィーネが頬を膨らませて反論した。

雨の上がった後の湿った空気が心地よかった。


翌日、ヴォルザードが旅支度をしていた

「あら、どこかへ行くの?」

シルフィーネが声をかけると、

「俺を待っている女性(ひと)がいるから・・・」

ヴォルザードが申し訳なさそうに答える

「えっ・・・」

まるで置物の様にに固まったシルフィーネに軽くお辞儀をして、素っ気なくこの廃村を後にして行く。

取り残されたシルフィーネは、表情のない顔と焦点の合わない目を去り行くヴォルザードに向け


「・・・ちょっと、ショックだぞ・・・」


そう呟く。


寂し気にヴォルザードを見送るシルフィーネをレオンが声を殺しながら笑って見ていた。

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