第09話 11 水晶の結末
比較的ヨルドが押しているものの、均衡した戦いが続いていた。
「ヘイスト!!」
ウォーレンが加速するための魔法を使う
「ヘイスト!」
更に被せるように唱える
そしてヨルドに向かい突進をかける。
パチンとヨルドは指を鳴らした。
”また、磁場を作ったというのか!”
複数の引力を感じた。それに対応すべくコンパクトに体を纏め、目標に向かって慎重に近づく
ゴウン!!
突然ウェインは何か壁のようなものに衝突した。
「ガハッ!!」
声を上げ、後ろへ弾き飛ばされた。磁場で作った見えない壁に衝突したのだ。
ウォーレンは強いめまいを感じ、思うように体が動かせない。軽い脳震盪になったのだ。
ヨルドのオーディーンが振り上げられた。
「待て!!ヨルド!!」
ヨルドはその声に剣を止めた。レオンが復活し、二人の闘いを止めに来たのだ。
「レオン・・・それは出来ない。」
振り下ろそうとしたその時
「来い!!」
レオンが声を高らかにあげる、空が光り辺りがざわめく。
「天空剣!!」
名前を呼ぶと同時にその光から一筋の光がレオンへとさした。
光が消えると、レオンの右手に白と青が基調の剣が現れた。
ヨルドは剣を止め、軽くウォーレンを足で小突いた、ウォーレンの体が淡い光に包まれる
「・・な・・・」
脳震盪から回復したウォーレンが怪訝な声を上げる。
「おい!いつまで気を失っている!」
状況を呑み込めないところにヨルドがぶっきらぼうに声をかけた。
「奴をどうにかしないと、決着はつかないぞ。」
ウォーレンはレオンを見てギョッとした。
「・・・な・・・なんだ・・・あいつ・・・お前よりヤバいんじゃないか!」
それを聞いてヨルドは口角を上げる
「そりゃそうだ!奴は魔王にならなかった奴だ!」
淡々と答える。
「・・・俺の天道をまともに受けて死なないどころか立ち向かってくるぐらいだからなぁ・・・・」
楽しそうに笑みを浮かべそう呟いた
「!!」
ウォーレンは、一瞬理解できなかった。・・・が、つまり奴は魔王の第一候補でありながらヨルドにその地位を譲ったのだと理解した。
「何故そんな奴が争いを止めるのだ!」
ウォーレンは思わず言葉に出す。
「さあな・・・あとで聞いてみればよいだろう。」
ヨルドがさらりと答えた。
しかし、このままやられるわけにはいかない。ウォーレンが唱える
「舞え炎、我が怒りに乗せて灼熱となれ!」
ヨルドは周りを見渡し、まだ磁場が消えていないことを確認し同じく唱え始める
「我道を開く者!我が先に道は無し!我進む後の開かれる道!」
それぞれが詠唱を始める
「灼火!!」
「天道!」
二つの強力な魔法がレオンに向けて放たれた。
レオンはその攻撃に真っ向から切りかかった。
ドオオオォォォンと大きな音が響く。
「まったく・・・器用な奴だ。」
ヨルドは小さく呟く。
「なんだと・・・属性の違う攻撃を・・・たったひと振りで・・・」
しかも、二つの攻撃は、極度に強力な攻撃だったにもかかわらずだ・・・
「どうしても闘いをやめないのであれば、俺がお前たちを倒す!!」
本末転倒な言葉がレオンから出た事にヨルドは苦笑いした。
「おい!お前!」
ヨルドはウォーレンに声をかける。
「奴は魔力はべらぼうだが、剣術にはまだ付け入るスキがある。とりあえず切り込むぞ!」
そう言いながらヨルドがレオンに向かって切り込む。それを見てウォーレンも切り込んだ。
「敵対してた割にいいコンビネーションじゃねーか!」
レオンは迫りくる二人を避ける様にバックステップし、キングオブスカイを左に大きく振りかぶりそのまま大きく右に薙ぎ払う。
「炎舞!!」
二人を凪る様に鋭い炎が襲い掛かる
「ぐうう!」
唸りながらウォーレンが雷撃を放つ、ヨルドは磁場を展開した。
炎は雷撃で半壊する。残った炎は二人の周りにできた磁場に拡散された。
「!!」
レオンが唸った。それを合図にウォーレンの残った雷撃が磁場に操られレオンの背後に回り込む。
「な・なに!!」
雷撃はレオンを背後から襲った。
「があぁ!」
悶絶するレオンをヨルドがオーディーンで切りかかる。
「ちいぃぃ!」
ガキィィン!
レオンが辛うじて反応し、それをキングオブスカイで受ける
その隙をねらってウォーレンがレオンの脇腹をエクスカリバーで狙う
レオンは左手で青い魔方陣を描き盾のようにその刃を受けるが、耐えきれずに魔方陣は砕け、レオンの右手に大きな傷を作った。
「こんな攻撃、シルフィーネなら簡単にあしらっているぞ!」
ヨルドがレオンにそう言う
「悪かったな!」
レオンが再びバックステップで間合いを取ろうとした時、ウォーレンがエクスカリバーで切りかかってきた。それをキングオブスカイで受けながし、そのままの流れでウォーレンに切りかかる
”しまった!!”
とウォーレンは思ったが避けれない!・・・が、レオンはこの剣戟を止め、ウォーレンのみぞおちを足蹴にした。
「ぐはっ!」
ウォーレンが悶絶するのと同時に、ヨルドの声が聞こえた
「我道を開く者!我が先に道は無し!我進む後の開かれる道!」
「!!!」
「天道!」
レオンの眼前が白く光り、無様に吹き飛ばされた。
「咄嗟に防御したか・・・」
吹き飛ばされながらも倒れないレオンを見てそう言った。
「はぁっ!はぁっ!」
額から血を流しヨルドを睨みつける。
ウォーレンが起き上がるのが見えた。
「本当にどちらも殺さずに事が終わると思っているのか?」
ヨルドがレオンに向け言葉を放つ。
「・・・ちくしょう・・・」
レオンは今のダメージで意識を保つのがやっとだった、諦めないという強い意志で何とか気を失わない状態だったが・・・
右手に持ったキングオブスカイを手放し、左腕を真横に突き出した。キングオブスカイはそのまま小さな光を纏い消える。そして・・・左手の先の空間に光が現れ、まるでひび割れる様に空間が割れ始めた。
「・・・アポロ・・・」
小さく呟き空間から光の塊が見えたその時・・・
「そこまでだ。」
低く冷静な声が聞こえたと同時にレオンの眼前に影が現れた。
「・・・な・・・」
そこに現れたのはシガだった。
シガが現れたと同時にレオンが透明な球体のシールドに包まれる
「!!」
レオンが隔離されたことによって、呼び出された光はゆっくりと消えていった。
球体が宙に浮くと、足場が安定しないのか、レオンが球体の中で尻もちをつくと、途端に我慢していたダメージを感じ始めた。
「・・・はぁ・・・はぁ・・・」
視界がぼやけ、意識も薄らいだが、シガの言葉をはっきりと聞いた
”あとは任せてもらおう”
そのまま球体はレオンを乗せ、城の外へゆっくりと浮遊して行った。
「・・・ちき・・・しょう・・・」
レオンは遠くなる3人をぼやけた視界で確認し、悔しそうに呟いた。
城が見える丘に到着すると球体は割れ、レオンは地面へと倒れる、今はダメージがひどく立ち上がれない。
そんな中、激しく動く3人の強い魔力を感じていた。
そして一瞬弾けるような強い力を感じると、二つの力が極端に小さくなる
「・・・回り・・・くどいこと・・・しや・・がって・・・」
レオンが小さく呟いた。心なしか安堵した表情だった。
シガが二人を水晶に閉じ込めた瞬間だった。




