第09話 10 思う気持ち
「さあ・・・」
シルフィーネはゆっくりと口を開いた
「決着をつけようかねぇ・・・。」
決着をつける必要はもうないはずなのだが・・・ヴォルザードはそう思ったが・・・どうしても・・・どのような状況としても・・・思うことが一つあった・・・
”あなたに勝ちたい。”
シャイニングブレイドを強く握り構えた。
シルフィーネは黒い片刃の剣・ネクロマンサーを構え、ヴォルザードに言う
「私は、あなたの仇の一端よ。」
ゆっくりと呼吸を整え
「でも・・・残念だけど、私も死ぬわけにはいかないの。」
そう言葉を付け足し、更に・・・
「だから、、、本気を見せてあげる。」
そう言った。
「本気・・・だと・・・」
ヴォルザードは呟くように聞き返えす。
「そうよ。だってそうしないと剣技はともかく総合的に負けちゃうからねぇ。」
あっけらかんとシルフィーネは答える。息切れに関しては麒麟への結界に魔力をとられることがなくなったので、疲れの度合いが緩まったようだ。
「私の力がどんなのか最初に見せてあげるわ。」
ニッコリと微笑み言うとシルフィーネの背後から影・・・いや・・・
闇が現れた
「!!」
ヴォルザードの目にもその闇は見えた。
しかし、何故だろうか、闇魔法のイメージである禍々しさが一切感じられない
そんなことを思っているヴォルザードをよそに、シルフィーネが口を開いた
「影牙」
静かにそう呟くと、、、
ゴウッという激しい音と共にシルフィーネの背後の闇から幾つもの闇の牙が目にも止まらぬ速さで襲いかかってきた。
「!!」
シャイニングブレイドを駆使しいくつかは消滅させたが、数本の牙がヴォルザードに掠る。
鎧に強い衝撃が来た。
「へへーん!どう?この威力。」
自慢げのあるシルフィーネを見て、無意識に苦笑いをした。
しかし・・・禍々しさも冷たさも感じない・・・逆に温もりすら感じるこの力に困惑すら覚える。
これに勝てる事ができるのか?と不安を感じた。
そのヴォルザードの思想を読んでか
「・・・でもね・・・あなたのシャイニングブレイドは高位の光属性だから、対抗できるんだけどねー」
と、弱点を語り始める。
「あなたは・・・勝つ気が無いのですか・・・?」
舐められているようで悔しかったのでムスッとした表情で聞き返すと
「あら・・・負ける気が無いだけよ。」
ときっぱりした返事と更に・・
「あと、圧倒的に片方に寄っちゃうと面白くないでしょ。」
よくわからない理論が語られた。
「殺し合いをするんですよ!負けるとは思わないのですか?」
ムキになるヴォルザードをキョトンとした表情で見た
「えっ!?あなた負けたいの?」
「あなたの事です!!!」
強い口調で反論するとシルフィーネは困惑した表情を見せ
「・・・え・・・えーっと、でも、ちゃんと実力出せずに終わっても嫌でしょ・・・」
今しがた、自分が実力出せずに負けそうだったことを忘れている!!そのの言葉に苛立ちを隠せない。
「もっと、自分を大切に思ってください!!」
自然に出た言葉にヴォルザードはハッとした。
眼前には目を大きく見開いて小さく驚いた顔のシルフィーネがいた。
少々短い時間が過ぎた後、
「えへへっ!」
とシルフィーネが嬉しそうに満面の笑みを浮かべる。
逆に不機嫌な顔のヴォルザードがそこにいた。
「もう身の上話はいいでしょう!」
と、不機嫌なままヴォルザードが切り出すと
「そうね・・・私もあなたの本気が見てみたくなったわ。」
シルフィーネも闇を背負ったまま、ネクロマンサーを構えた。




