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King of Sords  作者: カピパラ48世
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第09話 08 金色の光

時は少々さかのぼる・・・


シルフィーネの疲れの色がひどくなってきた。

戦局の旗色もヴォルザードが優位になってきている。

ヴォルザードが予想以上に強くなった事、自身の魔力の疲弊が予想以上に多かったことが原因なのだが・・

「・・・まったく・・・避けるだけでもツラいわねぇ・・・」

小さくぼやきながら、右手に黒い魔方陣を3枚出すと、一枚は地面に、一枚は天高く、一枚はシルフィーネの頭上にそれぞれ移動した。

「・・・戦意の雨・・・」

時間稼ぎにしかならない・・・しかし、雨の鉄槌によって足止めできれば・・・予定通り・・・

ブオン!!

「きゃっ!!」

何喰わぬ顔してヴォルザードが切りかかってきた。

「えっ!!」

思わず声を上げた。

「なによ!あんた、なんでダメージ受けないのよ!!」

ヴォルザードが怪訝な表情でこちらを見た

「何の事だ?」

効いていないというよりも、効果を発動していない・・・

「どういうこと?式はちゃんと書き込んであるのに!」

いくつか候補を考えると

「あんた!もしかして私の事を片手間で倒せるって思ってんの?」

最後にたどり着いた答えを言い放つ。

「何を言っている。」

更に怪訝と化した表情でその問いに答える。

「俺は、そんなにフラフラになりながらも、俺と互角以上に戦う お前の戦術を追いながら戦っている。決してお前を見下しているわけではない。」

・・・と馬鹿正直に答えてきた。その答えに一瞬素っ頓狂な表情を見せたシルフィーネが、

「・・・ぷっ・・・」

と大笑いし始めた。

「あんた!何よ!まだ鍛錬のつもりで戦ってるのね!!」

敵意など無いわけだ・・・

「そりゃ通用しないわ・・・」

シルフィーネは、ピンチだというのに楽しそうに笑った


ヴォルザードはシルフィーネと相対してから、強い疑問を持っていた。

あの時・・・幼いころの記憶・・・鮮明に覚えている記憶・・・あの頃は何の感覚なのかわからなかった記憶・・・

幼いころに見た仇の姿・・・そして魔力・・・確かにはっきり見たわけでないが、シルフィーネとは違う気がする・・・いや、シルフィーネの魔力も感じていた・・・しかしそれは何か違った。

こいつは何かを隠しているが、おそらくこのままでは口を割らないだろう。

「ならば・・・」

今一度左手に持つシャイニングブレイドに力を込めた。

”勝って、真相を聞くしかないな!”

そう思っていると・・・

「我が思念に応えよ・・・」

シルフィーネが詠唱を始める。

「させるか!」

魔法など出させてなるものか!と素早く切りかかる。

「なんてね・・・」

詠唱を遮られたもののシャイニングソードの切込みを何とか避けたシルフィーネはヴォルザードに聞こえるようにそう言うと

「実は無詠唱なのよね~」

楽しそうにそう言った。同時にヴォルザードの周りに10本くらいの水の矢が現れた。

”誘い込まれた!”

「ぐうう!」

咄嗟に力任せにシャイニングブレイドを引き戻し、全ての矢を討ち落とし、その剣の勢いのまま、シルフィーネに突きをかました。

「な、なに!その化け物じみた剣捌きは!!」

今の体調ではよけきれないと悟り、咄嗟にネクロマンサーで受ける・・・が、当然のように力負けした。

ヴォルザードは、シャイニングブレイドとネクロマンサーが合わさった瞬間に手首を返し真横に払った。

ガキーン!という強い金属音を伴い、シルフィーネの手からネクロマンサーが弾かれると、

「あっ!!しまった!!」

思わずシルフィーネが声を上げた。これは・・・・”やばい!!”・・・だって、あいつの次の攻撃は・・・・

シャイニングブレイドがバチバチという小さく鋭い音を立て始めた。

避けれない!!シルフィーネの頭にその言葉が浮かんだ。


ドオオオオン!

大きな雷がシャイニングブレイドから放たれた。


雨が雷に熱せられ水蒸気と化す。辺りをその蒸気が霧となり視界を遮る。

ヴォルザードは落ち着いてシルフィーネ位置を確認する。疑うべくもなく目の前にいる。

ハァ・・・ハァ・・・と時折吹きそこないの笛の音のような呼吸音が正面から聞こえる。

水蒸気の霧が晴れてきた。周りの温度が下がってきたのだ。

霧が晴れ、眼前に現れたのは、片膝をつき下を向いているシルフィーネと、シルフィーネの周りにまるで流れ星を描くようにえぐられた地面だった。

”地面をえぐったのは雷撃か・・・それではシルフィーネを守ったものは・・・?”

「一体、何をしたのですか・・・?」

ヴォルザードは呆れた口調で質問した。

「・・・はぁ・・・はぁ・・・おしえ・・・はぁ・・・たげ・・ない・・・」

息も絶え絶えに『教えてあげない』と言う。

「そんな状態で私の次の剣戟を受けれますか?」

ヴォルザードが構えた。シルフィーネはフラフラの状態だが、その構えに合わせて右手を前に突き出す

「・・・はぁ・・・わが・・・はぁ・・・みぎて・・・はぁ・・・に・・・ななつ・・・ぼし・・・」

(我が右手に七つ星)

すると、右手の拳の周りに七つの光が現れた。

「・・・あまり・・・はぁ・・・これ・・・はぁ・・・は・・・つかいたく・・・はぁ・・・なかっ・・・たけど・・・」

(あまりこれは使いたくなかったけれど)

「なんだ・・・これは・・・」

ヴォルザードは驚愕した。七つの光がそれぞれ火・水・風・雷・土・光・闇のエレメントだったのだ。

「全属性を使えるというのですか!!」

狼狽えるように質問するヴォルザードに

「・・・はぁ・・・どう・・・かしら・・・・はぁ・・・ねぇ・・・」

シルフィーネは答えをはぐらかした。二人は気付かなかったが、雨は幾分か弱くなっていた・・・・

「ちぃ!!」

ヴォルザードがシャイニングブレイドをシルフィーネの右手めがけて振り下ろす。シルフィーネは右手に力を込め狙いを定める。


——— その時 ———


天空から黄金の光が矢のように現れ、シルフィーネの背中に命中した。

「があぁぁ!」

ふいに来たその一撃にシルフィーネが苦悶の声を上げる、同時に、そのダメージに耐えきれずに七つ星が砕けた。

”暴発する!!”

シルフィーネの頭にその言葉がよぎった。

七つ星のエネルギーが右手から腕を通りシルフィーネの体へと逆流し始める。このまま心臓まで逆流すればシルフィーネが持たない。

そろそろ走馬灯でも灯そうかしら・・・観念してそう思った刹那。

ザクッ!!

という音が頭の中に響き、右上腕に強い痛みが走った。

ヴォルザードの剣がシルフィーネの上腕を切りつけたのだ。大きな切り傷が刻まれ、その傷から七つ星のエネルギーが弾かれるように飛び出し、大きな爆発が起こり、強い爆風がシルフィーネを地面へと押し付ける。

「がはっ!!」

ヴォルザードにも爆風の威力は襲ってきたが、何とか耐えることができた。

そして、眼前を見渡すと、地面に倒れているシルフィーネが見えた。

「はぁ・・・はぁ・・・」

ヴォルザードが息を切らせて、シルフィーネを見下ろし言葉を発する

「観念しろ・・・・」

額に血を流す彼女は、血まみれの右手を地につき何とか起き上がろうとするが、右腕の深い切り傷のせいか、力が入らず雨によって濡れた地面に再度倒れた。

「シルフィーネ!」

雨の勢いは弱くなっていた。

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