第09話 06 そして眩しかった・・・・
村にある広場にある古びた祠のような建物の中央にある大きな椅子にシルフィーネは深々と座っていた。
降りしきる雨の中イルエ山脈に向け飛び立つ二つの影を、疲れの見える視線で追った。
「今日は予定の多い日ね・・・」
そう呟いた。
立ち上る雲の上から軋むような大きな音が聞こえていた。
ヴォルザードと暮らし4年の歳月が経過したある日、シルフィーネが改まってと対峙した。
逞しくなったその体つき、そして表情・・・眩しく見えた。
少々寂し気な表情を浮かべシルフィーネは口を開く
「もうあなたは、誰にも負けない程の剣と、強い魔法を使えるようになったわね。」
誰にも負けない・・・・いや、シルフィーネにはまだ勝てないのだが・・・・
しかし・・・ヴォルザードがコクリと頷く。
「じゃぁ、もう大丈夫よね。」
「えっ・・・」
ヴォルザードの疑問の籠った感嘆符を聞き、シルフィーネが呼吸を整え始めた。最近のシルフィーネは少々疲れが目立ってきているようだ。
「あなたの御両親の仇を教えてあげるわ。」
ヴォルザードは目を見開いた・・・いつかシルフィーネはその正体を知っているかのような口ぶりをしていたことを思い出した。
「五年・・・待ってあげるわ・・・」
何を言っているのだという表情をシルフィーネに投げかける。
「もっと腕を上げて・・・私を殺しに来なさい・・・」
一瞬時間が凍ったかのように感じられた。
想像していないわけではなかった・・・が、その答えでいてほしくなかった。
ヴォルザードは眉間にしわを寄せた。
「あなたが・・・」
まっすぐシルフィーネに顔を向け、噛締めるように言葉を発する
「・・・あなたが・・・仇ということなんですね・・・」
シルフィーネは静かに目を伏せた。
雨は降り続いていた。
「行っちゃったわねぇ・・・」
レオンとシガの影を見つめ呟いた。
「信用されてるのよ・・・ね・・・?」
憂いのある表情で空を見上げると、広場に近付く人影に気付く。
その人影に視線を合わすと、ゆっくりとした口調で言葉をかける
「・・・それで・・・」
人影はさらに近づいてくる
「私を殺す準備ができたかい・・・・」
その言葉を聞き人影は歩を止めた。
「ヴォルザード・・・」
シルフィーネは眩しいものを見るように目を細めた。




