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King of Sords  作者: カピパラ48世
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第09話 03 剣の修練

ヴォルザードが木剣を振りかざしてレオンに切りかかる。

レオンは素っ気なく右手に持った木剣でそれを薙ぎ払う。

「くっ!」

ヴォルザードが悔しそうにうめき声を上げ、レオンを睨んだ。

「ちょっと~、それじゃ練習にならないでしょ!」

部屋の入口で食料を両手いっぱいに持ったシルフィーネが声を上げた。

「どうしろと!」

レオンがぼやいた。

「いえ、今度は簡単に受けさせません。」

ふたりの口論に割り入るようにヴォルザードが言葉をだした。

レオンが小さく舌打ちすると、ヴォルザードに剣先を向けた。

「ほら!」

ぶっきらぼうに攻撃を誘った。

———カン!———

乾いた打撃音と共にヴォルザードの木剣が、レオンの木剣を弾いた。

そのあと、何回かの乾いた音が響いた。

そして・・・

「はっ!!」

と勢いのよい掛け声と共にヴォルザードがレオンに切りかかる、先ほどと同じような状況に、レオンは同じように薙ぎ払う・・・

カンッ!!

と大きく木剣の重なる音が響いた。先程は薙ぎ払われた後に弾かれたその剣が、レオンの剣を受けその場に留まっていたのだ。

「あら・・・それは凄いわね・・・」

思わずシルフィーネが呟いた。先程迄はあの薙ぎ払いで体勢を崩されていたのを耐えるようになったのだ。

続けてヴォルザードは連撃し、レオンに襲い掛かった。

「それは甘い!」

しかしその連撃はあっけなく弾き返され、剣を落とした。

「くそっ!」

悔しがるヴォルザードを横目にレオンはシルフィーネに視線を向けると

「俺は疲れたから、あとは任せた。」

と述べ、踵を返す。

「にひひっ」

とシルフィーネが笑い声をあげた。レオンはそれを聞かないふりをする。

「えっ・・・」

ヴォルザードが声を出した。今までレオンが剣の相手をしてくれていたのだが、シルフィーネが交代するというのだ。

「あなたは剣を使えるのですか?」

おおよそ闘うとは程遠い姿のシルフィーネにそう投げかける。

「あら、お母さんって呼んでよ!」

と、軽く希望を述べると

「剣技は好きよ。」

と楽しげに答えた。


カンッ!カン!

乾いた音が鳴る

ヴォルザードの剣が勢いよくシルフィーネに襲い掛かる・・・が、軽く受け止められ、軽く避けられる。

殆ど直立のままいなされる、シルフィーネはたまにしか切りかかってこないが、そのたまの切込みがヴォルザードの体制を著しく崩す。

”一体、どうすれば彼女を動かせるのか?”

両手持ちの状態で、思い切り右から切り込んだが、それは軽く弾かれる。すぐさま左から切り戻すかのように切りかかった。

「あら、駄目よその切込みじゃ・・・」

その剣は真っ向からくるシルフィーネの剣に抑え込まれた。

「!!」

ヴォルザードは唸った。

「あなたはまだ右手の方が強くて左からの打ち込みが弱すぎるのよ。」

自分の剣でヴォルザードの剣を押さえながらシルフィーネが言う

”どうすれば・・・!”

ヴォルザードの疑問を感じ取ったのか、シルフィーネが続ける

「まず、相手を倒すことを考えずに、確実に剣を扱ってみましょうね。」

「えっ!」

シルフィーネが楽しそうにアドバイスを始めた

「右から切りかかる時は左で操作して、右手は添えるだけ。左からは右手のみで振ってみて、狙い通りの標的を討てるように振ってみようか。」

言われるとおりに右からの切込みで左の引手で動かした。右手は剣の姿勢の補助とした。

「!!」

いつもより早く剣が振れた。それは初めての体感だった。

では逆だ!ヴォルザードは左から降り抜こうと右の引手に気を使った。

「!!」

今度はなぜか右に比べて弱い剣戟となった。

「あら、そうねぇ、右と左と、肩の使い方が違うからねぇ。」

剣戟をさらりと避けシルフィーネはそう言う

「右手が上だから、右の剣戟は効率よく触れるけど、左からは引手の右が上だから同じ肩の捻り方では力が出ないわよね。」

これは野球で言うところ右バッターがグリップを持つときは右が上で左が下、左バッターは左が上で右が下であるように、右から切りかかるには右が上、左から切りかかるには左が上の方が操作しやすい。

しかし闘っている最中に持ち手を毎度切り替えるのは難しいので、左からの剣戟は左手を離し右手のみで振って、そのあと大きく体を捻りながら右手を戻して左手でグリップを握り引手を作る。

「ってのがお手軽な横方向の連撃ね。」

ヴォルザードは言われたとおりに剣を左右に振る。確かに早い剣戟が出せる。

「これでは相手を切れない。」

そう呟く。剣の速さはあるが力がないのだという。

「その通りね。」

シルフィーネが肯定した。

「この剣の動きは相手の隙を作るための動作ね。」

これで切れる相手は切ってしまえばいいが、強者となるとそうはいかない。

「隙を作って、チャンスには引手操作でもう一方の手は押手で押し切るように相手に強い剣戟を当てるのがいいと思うわ。」

それだけのパワーをつけろというのだ。ヴォルザードは苦笑いした。

「それじゃ手本行くわよ。そのまま剣を動かさないでね。」

シルフィーネが両手で構え切りかかってきた。彼女は左利きなので、ヴォルザードの右から切りかかってきた。

カン!

軽い乾いた音が響いた。次に右手を離し左で切り戻す。

カン!

再び乾いた音が鳴る。

そして、剣の動きに合わせるように体をに練り、振り切った剣に追いついた右手が柄をしっかりと握り、引手とした。

カカッ!!

と速度の速い音が鳴ったかと思うと、ヴォルザードの剣が弾かれ彼の手から離れた。この剣戟は左手の力を入れて切りかかったのだ。

素早い動きだった・・・。そして・・・何より見とれるような綺麗な動きだった。


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