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King of Sords  作者: カピパラ48世
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第08話 08 上がる土煙

「ま~た一人で戦い預かっちゃったねぇ・・・」

イリアが呆れたように呟いた。

「このままだと彼女一人で戦争止めれるんじゃないか・・・?」

ヒューイは呟いた。実際これまでに4か所の戦いを『預かった』のだ。

「今回もまた、怪我人だけで死者はいないんだろうなぁ・・・。」

呟きを付け足した時、

「しかし、あの方程式は美しい・・・。」

黒い口髭を蓄えた体格のよい男がシルフィーネの「雨の鉄槌(仮称)」を見てそう呟いた。

「エドは彼女に見とれているのね。」

イリアはニタリとして口髭の男エドにそう言う。エドは一瞬キョトンとしてから、すました顔をしてシルフィーネを見た。

「確かに・・・そうですなぁ・・・イリア嬢のファーストキスの相手ですからねぇ。」

「・・・あ・・・いや・・・私が悪かった・・・。」

イリアが言葉を詰まらせながら反論した。


あれから、イリア達は、シルフィーネが使う『方程式解法』の第一人者のエドを呼び合流した。

黒い髪に体格のよい褐色の肌、黒い口髭で麻のフード付きマントを纏ったエドは老けて見えるが、ヒューイより8つ年上の27歳だ。


「彼女も美しいが、あの方程式は素晴らしい。人があの場所に近付くと雨が降り、戦いの意思が見られると その雨が鉄槌になる。シンプルでとてもよく考えられた構成だ。」

エドが嬉々として語る。

「あの御方はなぜ精霊魔法ではなく、あの魔法を使うのでしょうか?」

ウィドが質問をしてきた。普通に考えれば、彼女は水精霊の加護が強い天使だ。精霊魔法を使うのが自然だとウィドは言う

「確かに精霊魔法だと強力な威力がありそうだな・・・しかし今回は威力より持続性を求めたんだろう。」

わかりづらいが、地面に2つの魔方陣が埋め込まれている。

一つは雨を降らす範囲魔方陣。一定の範囲に人が現れると雨を降らす。

もう一つはその雨に方程式を埋め込むための物、戦いの意思のある者に鉄槌となる式が埋め込まれている。

設置型にすることで、精霊という魂ある者を縛り付けずに長い期間発動できる。

また、消費する魔力も少ない。

方程式解法の便利なところは式を書く時にしか魔力が要らないということだからねぇ・・とエドは追加した。

ヒューイはその解説に感心しながら、エドとシルフィーネを交互に見た。



「今回はこんな感じね。」

目の前に広がる阿鼻叫喚の風景を寂しそうに見て、シルフィーネは踵を返した。

暫くの間、この国境に戦意ある者が訪れれば鉄槌が下る。

「あまり痛い目には会ってほしくないのだけれど・・・」

静かにそう呟きイリア達の方向へと歩を進めたその時、シルフィーネの頭上に強い光が現れた。

「!!」

一瞬だった。シルフィーネに向かって上空から降りてきた人影が大剣を彼女に向かって躊躇なく振り下ろす。

ズガーン!!という、まるで雷でも落ちたかのような轟音が鳴り響き、辺りには土煙が上った。


「なに!敵襲?」

かろうじて戦場が見える丘の上で眺めていたイリアは声を上げた

「分からない、一瞬光ったかと思ったら土煙が上がった。」

思わず敬語を使うことを忘れヒューイが答えた。

「彼女が心配だ!」

土煙に向け移動しようとしたヒューイをエドが肩を掴み止めた

「なにを・・・」

抗議しかけた彼に

「今行けば戦いになる。」

冷静にそう言った。

「当たり前だ!戦うしかないだろ!」

ヒューイが、すかさずそう答えると

「お前はあの鉄槌に打ち勝てるのか?」

エドが忠告すると、ヒューイの表情がこわばった。

そうだ、あそこに戦意のある者が行けば雨の鉄槌が下る。

「今は遠距離から援護するか、見守るしか手はない。」

ヒューイが苦虫を嚙み潰したような表情で遠方で上がる土煙を見た。



延々と土煙が周りを覆っていた。

大剣を振り下ろした人影が、異変に気付いた。

本来ならもっと振り切れなければならない太刀筋が、まるで何か固い物に遮られたかのように止まったのだ。

「まったく・・・あなたという人は、こんな攻撃にも反応するんですね・・・」

まるで観念したかのような口調で若い男の声がした。

だんだんと晴れてくる土煙の中で、振り下ろされた大剣が黒く中型の片刃の剣にて受け止められていた。

頭上に振り下ろされた大剣を、両手で持ったその黒い剣で受け、笑っていない視線を男に向けシルフィーネはニヤリと笑った

「あら・・・久しぶり・・・じゃない・・・。」

知り合いに会ったかのようなせりふを言った。相手の力に何とか耐えているような感じだったシルフィーネは更に呟くように


「息子よ・・・元気だったかい・・・」


と皮肉の混じった言葉を出した・・・。


辺りの土煙はだんだんと消えていった。

最期の台詞がしっくりこなかったので修正しました

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