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King of Sords  作者: カピパラ48世
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第08話 07 戦場に降る雨

「はぁぁぁぁぁ!!!」

紅い服装をした長い黒髪の女性から気合を込める掛け声が発せられた。

早朝の戦争が始まったばかりの時間帯、両軍が交わる直前に大声を出しながら割り込んできた女性に両軍全員が足を止めた。

全ての視線を受けた紅い服装の女性・・・シルフィーネが歩幅を大きく取り、更に大きく両の腕を広げ、威嚇するように強い意志のある瞳で両軍に視線を浴びせた。


そして


「この戦い!私が預かる!!」

凛とした声色が辺りを支配した。


魔獣の戦士も、人の戦士も、ただ茫然と一人の女性を見つめ動きを止める

「・・・戦いを・・・預かる・・・だと・・・」

一人のぼやきが大きく広がり始め、ざわめき始めた。

明らかに一人でどうにかなるものではないが、なぜかその堂々とした姿に目を奪われたのだ。

しかし・・・

「お前ら!何をしている!たかが女一人にこの戦争を止めれるはずがなかろう!!」

ごもっともな激が人側の隊長格の男から発せられた。

その言葉に我を取り戻した兵士達は進軍を開始する。

そして、両軍が交わるかというその時、シルフィーネがまるで空中に文字を書くかのように指を動かし

「我は戦いを望まぬ・・・」

「我が意思を受けよ!」

「天より降りし礫!」

静かにその言葉をつぶやく。

すると空に雨雲が現れ、雨が降り始めた

「・・なん・・雨・・・?」

突然の雨に兵士は戸惑う者もいたが・・・

「ぐえっ!」

「がっ!」

雨が着地すると同時に辺りから苦悶する声が聞こえた。

「一体!何が!」

雨が降っただけなのに・・・指揮をとっていた男が呟いた。

「・・・何だというのだ・・・」

指揮官は馬を走らせ剣を持つ手に力を込めた。

・・・その時・・・

指揮官に雨があたった・・・

「がはっ!」

雨の触れた個所からの強い衝撃が指揮官を襲った。

「なん・・・だと・・・」

意識を失いながら、視線の先にある人影を見た。

寂し気な表情をした・・・シルフィーネを・・・


「意思のある・・・雨か・・・」

闘いの見える小高い丘でレオンが呟いた。


「・・・何を・・・したの・・・?」

あっけにとられたイリアが言葉を発した

ヒューイは言葉を発せなかった、ただ彼女を見るしかできなかった。

「雨の鉄槌・・・・とでも呼びましょうか・・・」

ウィドが思念を送った。

「なによ、それ。」

イリアはすかさず聞き直した。

「雨が文字通り鉄槌となっています。」

つまりは今回は闘う意思を持った者のみに、雨が鉄槌の威力を発するというものだと説明をする。

「そして・・・これは普通の精神魔法や精霊魔法とは異なります。」

ウィドが言葉を続けると、ヒューイは深刻な趣で、

「ああ・・・」

と相槌を打ち

「・・・これは・・・『方程式解法』・・・だ・・・。」

苦笑いをしながらそう言った。


雨を降らせたのは別の魔法なのか・・・それはわからないが、降る雨すべてに方程式を書き込んである。

ヒューイはそう感じた。

「恐らく、雨の粒が当たった相手が闘う意思を持っているという条件が代入された時に鉄槌と変貌するのでしょう・・・」

こんな方程式が瞬時に構築できるものなのか・・・しかも、こんなにも大量に・・・。

シガの時と同じ汗が背中を冷やした。


暫くして、戦場に両軍の兵士が気を失った者、痛みを訴え横たわる者の姿で溢れかえった、戦意を失ったものにはただの雨となり、その体を湿らせた。

そして、その中央には毅然と立つシルフィーネの姿があった。


どこか寂しそうな、そして、なにやら安堵したような表情を浮かべシルフィーネが天を見上げ、大きく息を吸うと

「この戦、私が預かった!」

まるで勝ち名乗りでも上げるかのようにそう言った。


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