第08話 04 気になる
「あら・・・こんなところに生粋な魔族がいるなんて。」
冷徹な笑みがオルフィドに向けられる、オルフィドは震えあがった。
「・・・ひ弱な魔族ね・・・。」
パドスは広場の中心にいたはずの彼女が一瞬の後に ここにいたことに驚愕した
そして、オルフィドをひ弱と言い切るその圧倒的な威圧感に更に驚愕を隠せなかった。
パドスはオルフィドを保護するかのように腕を引き 抱きしめた。震えるオルフィドは、なすがままにパドスに保護される形となった。
”・・・ひ弱・・・だって・・・?”
いままで、悪漢に襲われた時も、魔物に襲われた時も圧倒的な力で撃退してきたのだ、ひいき目に見ても、ひ弱と言われる筋合いは見当たらない
「あ・・・あなたは一体、何者ですか?」
震えるオルフィドを抱え、思い切って質問を投げかけた。
黒いドレスの彼女は長いストレートの金髪をたなびかせ、にっこりと笑った。
「申し遅れましたわ。私はモルベス王国のイルグド・モルベス皇子が臣下、タニアと申します。」
わざとらしく恭しい態度をとり自己紹介をした。
「あ・・・ああ、タニア殿というのか・・・私は旅をしているもので、パドスといいます。」
相手が自己紹介をした手前、パドスは自身の名を名乗った。
「そうですか、旅人なのですね。お気をつけて旅をしてくださいね。」
ニッコリと笑いそう言うと、踵を返し、広場の中央へと戻って行く。そして歩きながら右手で長い金髪をかき上げる。その時パドスは、彼女の手首の巻かれた白い装飾が気になった。すべてが豪華な装飾に見える中、そこだけがシンプル過ぎるほどシンプルだったのだ。
「・・・ふぅ~・・・」
タニアが去って行ったあと、オルフィドを抱きしめたパドスの緊張が解けた。
確かに、凄い威圧感だった。
「大丈夫か・・・?」
オルフィドを気遣い声をかける
「・・・バス・・・」
オルフィドが何か呟いた「・・・ん?」とパドスが呟く
「・・・あいつ・・・サキュバスだ・・・べ・・・別格の・・・」
「えっ!」
広場の中心に戻った彼女を遠目で伺った。そして「はっ!」とオルフィドに目を向ける。
「大丈夫か?魔力を吸い取られたのか?」
オルフィドは慌てて確認するパドスを、まだ青ざめた血の気が戻らないまま一瞬キョトンとした眼差しで見つめた後、そっと目を閉じゆっくりと首を振った
「・・・いや・・・それはなかったよ・・・」
まるで父親の腕に抱かれているような安堵した気持ちで、オルフィドはパドスの胸に顔をうずめた。
「やぁ、タニア。何かお気に入りでも見つけたかい?」
帰ってきたタニアにイルはそう言った。
「気になる者たちでしたが、脅威ではありませんでしたわ。」
ニッコリとそう返した。
オルフィドが可愛くて・・・
挿絵を描きたくなってしまったんです(笑)




