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King of Sords  作者: カピパラ48世
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第07話 01 始まりの戦火

「世界は変わってしまったのさ・・・」

ギムがウェインに語り掛けた。

ウェインは、目を閉じたまま動かない。

「『世界の中心』を手に入れれば、どうにかなるかもねぇ・・・」

ウェインは静かに目を開いた。

「『世界の中心』・・・白き御影・・・冥府の女王・・・」

そう呟くとラグナロクを握る手に力を入れた。

「世界を・・・取り戻す・・・」

ウェインが静かに呟いた。



ドォォォォォン!!

大きな爆発音が辺りに響く。

「弓を引けー!!」

「歩兵隊、前進!!」

怒号が飛び交う戦場。大陸の西に位置する亜人率いる国「バルゾナ」と人間が率いる国「ダージェス」との間で戦火が始まり、その勢いはとどまることを知らない。

「さて、シガよ・・・お前はどう出る?」

ダージェルの国境近くの丘に立つギムが薄笑いを浮かべそう呟いた。


「それを想像するだけで、心が躍るようだよ・・・」


その言葉は風の音にかき消された。




戦火は続いていた。

悲しい瞳でその戦いを見ていた

”泣いては駄目だ・・・”

強く念じ、瞳を閉じる。

「大丈夫か?」

その姿を見て心配そうにレオンが声をかける。

シルフィーネは言葉を出せなかった。


折角、平和になったのに・・・やっと共存が見えてきたのに・・・・

心が砕けそうだった。

「でも・・・今はまだ泣いてはいけない・・・」

シルフィーネは胸に手を当てながら、しゃがみこみ俯いた。

”どうして・・・戦いが始まったのか・・・”

理由はわからないが、原因には目星をつけている。

「ウェイン・・・」

小さく呟いた。

血なまぐさい風が吹いていた・・・。




星が輝いていた。

「ああ・・・星が見える・・・」

感慨深そうに声を出す。

400年の間、暗闇に閉じ込められていたビエラの目は輝いていた。

あの闇から出た後に長い銀髪の男の幻影から、

「ウェインは生きていて、君を待っている」

と聞いたビエラは、その場所を目指して進んでいた。

ー--ウェインと会えるー--

その思いを胸に・・・満天の星空を見上げた。


「嬉しそうだね・・・でも・・・君には役に立ってもらいたいことがある・・・」


背後から男の声が聞こえた。

「えっ・・・」

ビエラは聞き覚えのある声の主を確認するために振り向く。

「!!」

振り向くと同時に、眼前に闇が広がった。思わず「きゃっ!!」と発したが、その黒い闇にかき消された。

何も見えない・・・何も聞こえない・・・自分の声さえも・・・

手足・・・いや、全身の感覚が感じられない・・・。ビエラは孤独に戻されたのだ。

”なに、これは・・・”

ただ、ウェインと会いたいという想いで耐えてきたあの暗闇の時でさえ、自分の感覚は感じられていたのだが、まったく今の自分の把握さえも難しいこの空間で、ビエラは絶望を感じた・・・。

”ウェ・・・イン・・・”

心の中で不安そうに呟いた。


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