第05話 01 ありがとう
「ところで、シガ・・・」
ヨルドの所から帰ってきたシルフィーネが唐突に口を開いた。
「あんた、なんであんなところから出てきたの?」
質問の内容はとてもシンプルだった。
「あそこでは、いけなかったかい?」
淡々とした口調で返事を返した。彼との会話には感情が見えないとシルフィーネは常々思っている。
「いなくなったのは北の魔王城の近くなのに、こんな南の端で出てきたら、なんで途中で声かけてくれないのかってことよ!」
いわゆる、眠りにつく前に、大陸の上の端から、あの時自分の居た街すら超えて大陸の下の端まで縦断する移動をしながら、声すらかけてくれないなんて・・・と言っているのだ。
「声の代わりに、通りがかりに、力をお前に渡しただろう。」
また淡々と言葉を発した。それにはシルフィーネも声を失ったが、改めて、シガに視線を合わせると。
「私はね、あんたにお礼を言いたかったんだよ!」
強い表情でまるでシガを睨むかのような視線で言った。
「レオンを助けてくれて、私とヴォルザードの仲を取り持ってくれて・・・・」
そこまで言うと、ゆっくりと息を整え、改めて静かな口調で
「ありがとう。」
はっきりとそう伝えた。
シガはその言葉を表情を変えずに受け取った・・・みたいだ。
まったく!本当に感情の読めない人ね!シルフィーネは心の中で悪態をついた。
「しかしまぁ、やっと胸のつかえがとれた気持ちになったわ!」
さわやかな口調でそういう彼女を、微笑みながらレオンは見ていた。
“・・・ん・・・でも、ヨルドが解放されたのが百年前だって聞かなかったし、そうなるとウェインは・・・?“
何やら疑問が発生したが、
「また今度聞きましょ」
と軽やかに呟いた。




