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38. 美空ねぇさんの仇

 気がつくと二人は石畳の広場に立っていた。


 重厚な中世ヨーロッパ風の石造りの建物がぐるりと周りを囲っていて、奥にあるのは教会だろうか、天を衝く尖塔が見事で思わず見入ってしまう。そして、そばには噴水があり、英雄のブロンズ像が高々と剣を掲げていた。


 カッポカッポと荷馬車が行きかい、ワンピース型の民族衣装を着た女性たちが買い物かごを手に雑談しながら通りすぎていく。


 すると急に影に覆われた。


 え?


 見上げると巨大な翼を広げた恐竜のような生き物が青空を横切っていく。背中には誰かが乗っているようだった。


 玲司はそのファンタジーな巨大生物に目を奪われる。飛行機代わりに魔物を使役しているらしい。


「うわぁ……、ここがEverza(エベルツァ)? すごい、まさに異世界そのものだ……」


 やがて魔物はバサッバサッと翼をはばたかせながら尖塔の向こうへと着陸していった。


 シアンは魔物なんてどうでもいいかのようにBLTサンドにかぶりつき、


「美味しいと思うんだけどな?」


 と、首をかしげている。


「そんなのいいから、冒険だよ、冒険!」


 玲司は生まれて初めて見た本物の魔物に浮かれ、ポンポンとシアンの背中を叩く。


 と、その時だった。


「この人殺し! 成敗してやるのだ!」


 と、叫び声がした。


 へっ!?


 声の方を見ると、白いワンピースの少女が剣を掲げて突っ込んでくる。その綺麗な燃えるような真紅の瞳には殺意がたぎっていた。


「ご主人様、下がって!」


 シアンは玲司をかばうように前に出ると、手に持っていたBLTサンドを投げつける。


「邪魔するなぁ!」


 少女はそう言うとBLTサンドをスパっと剣で切り捨て、そのまま振りかぶるとシアンに切りかかった。


 シアンは青い髪の毛をブワッと逆立て、全身から青白い光を浮かべると、


「きゃははは!」


 と嬉しそうに笑う。そして、目にも止まらぬ速さで手の甲を振りぬき、パーン! と剣を吹き飛ばした。


 カラーン、カラカラ、と石畳に剣が転がる。


「くっ! 美空ねぇさんの仇をとるのだ! 邪魔するな!」


 少女は叫ぶ。少女は赤毛で目の色も違ったが、美空とうり二つだった。


「え、もしかして、あなたがミゥ?」


 いきなり殺意を向けられて玲司は圧倒されながら、おずおずと聞いた。


「ふん! ミリエルが許しても、あたしは許さないのだ!」


 ミゥは叫び、ギリッと奥歯を鳴らすと空中に真紅に輝く魔法陣を展開していく。六芒星に二重丸、そしてルーン文字がそろった瞬間、激しい炎がブワッと噴き出してくる。


 しかし、シアンはすかさず空中に空間の亀裂を作り、ブゥンとドアを開く。


 噴き出した紅蓮の炎は玲司に届く前にドアの中へと吸い込まれ、消えていった。


「あぁ! ダメなのだ! ここで管理者権限使っちゃ!」


 ミゥは焦って周りをうかがい、プクッとほおを膨らませた。


「だって僕、魔法知らないもん。きゃははは!」


「むぅ! 一発殴らせるのだ!」


 ミゥは『瞬歩』を使って一気に玲司の前まで行くとこぶしを振りかぶった。


 おわぁ!


 頭を抱え、しゃがみ込む玲司。


「まぁまぁ、落ち着くといいゾ」


 シアンはそう言ってヒョイとミゥの身体を捕まえ、持ち上げる。


 今まさに殴ろうとしていたミゥはバランスを崩し、慌てた。


「ちょっと! あんた! 放すのだ!」


 ミゥは身体の周りに電撃をバリバリと走らせる。閃光があたりを包んだ。


 しかし、シアンはそれをシールドでうまく防御している。


「ぐぬぬぬ! 放すのだ!」


 ミゥは両手を組んで何かをつぶやくと、今度は炎をぼうっと自分の周りに吹き上げる。


 しかし、シアンは焦ることもなく、


「きゃははは!」


 と、炎を纏いながら嬉しそうに笑った。管理者権限を使ったシールドには魔法は一切通用しないようだった。


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