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35. いきなりの異世界

 しばらくシアンとお湯をぶつけ合いっこしたりして遊んだ後、部屋に戻ってきたが、ミリエルはいなかった。きっと遅くなるのだろう。


 ピンクのフワフワのパジャマ姿になったシアンは、手際よくベッドマットを出して空中に浮かべると、


「ご主人様、寝る時間だゾ!」


 と嬉しそうに言って、玲司にかかる重力を減らし、腕をつかんでベッドに放り投げた。


「うわ! ちょっとお前、毎回投げるの止めろよ!」


 ベッドマットの上でボワンボワンと弾みながら玲司は怒るが、


「これが一番速いゾ!」


 と、ニコニコして自分も飛び込んできた。


「え?」


 驚く玲司をしり目に、


「ご主人様はもっとそっち。僕はここね。おやすみ!」


 そう言って毛布を掛けて寝始めた。どうやら一緒に寝るつもりらしい。ベッドなんていくらでも出せるんだろうからなぜ一緒に寝るのだろうか? もしかして、もしかして夜のお楽しみがあるということだろうか? ハーレム展開?


 玲司は真っ赤になってドキドキと高鳴る心臓を持て余した。


 しかし、しばらく待ってもシアンは動かない。


 チラッと見ると、幸せそうな寝顔を見せて静かに横たわっている。


「ほ、本当に、一緒に……寝るの?」


 玲司は声を裏返らせながら聞いてみる。


 しかし、シアンからは返事がなかった。


「お、おい……」


 一瞬で寝てしまったということだろうか? AIならそう言うこともあるのかもしれないなと思ったが、なんて無防備なのだろうか?


 玲司はシアンの可愛い顔をじっと眺める。透き通るようなキメの細かい肌に美しくカールした長いまつ毛。AIなのだから理想の顔を作ったのだろう。ある意味作り物なのだ。でも、作り物でもこれだけ美しければ心を揺るがすには十分だった。


 ぷっくりとしたイチゴのような唇。もし、キスをしたらなんて言われるだろうか? もしかしたら『ご主人様、キスしたいの? いいわよ?』と返すかもしれない。


 ふぅ。玲司は大きくため息をつくと首をブンブンと振って妄想をふりはらう。


 さっきから調子を狂わされっぱなしである。


 諦めて寝ようかと思ったが、ふんわりと甘酸っぱい華やかな香りが漂ってきて頭がくらくらしてくる。健全な青少年にはこんな魅惑的な女の子の隣で寝るのは心臓に悪い。


「ちょっと、起きて」


 玲司は遠慮がちにすべすべなほほをピタピタと叩いた。するとシアンは、


「ンン――――!」


 とうなり声をあげ、眉をひそめると、腕をブンと振る。


 ドン!


 玲司はベッドから弾き飛ばされた。


 うわぁ!


 叫んで落ちていく玲司のことはそっちのけに、シアンは毛布に深くもぐり寝返りを打つ。


 弾き飛ばされた玲司はゆっくりと床まで落ちて、そしてゴロゴロと転がった。


「なんなの……、これ?」


 玲司は床に寝転がったまま、ひどく理不尽な扱いに途方に暮れる。


 すると、シアンが叫んだ。


「ご主人様! もう食べられないよぉ……」


 ひどい寝言である。ご主人様を弾き飛ばして自分は幸せな夢を満喫してるのだ。


 玲司はムッとしたが、怒りのやり場に困り、ため息をつくと窓の外を眺める。


 そこには静かに雄大な海王星がたたずみ、玲司の悩みなどお構いなしに悠然と辺りを青い輝きで満たしていた。



         ◇



「うーい、玲司! 起きるのだ!」


 ソファーで寝る玲司を誰かがバンバンと叩く。せっかく寝付いたのに。


 んー?


 玲司はソファーの上で目をこすりながら声の方を向くと、上機嫌に真っ赤な顔をしたミリエルがワインボトルを片手に立っている。


「飲み会終わったの? ふぁーあ……」


「聞いて喜ぶのだ! 君の出撃を決めてきたぞ!」


 玲司は半開きの目でミリエルをにらむ。どこに喜ぶ要素があるのだろう?


「君は異世界物のラノベが好きだろ? 異世界転移させてやるのだ」


 は?


 玲司は何を言われたのか全く分からなかった。


 最近はやりの異世界物。ラノベにマンガにアニメに大ブームだ。しかし、地球を破壊した副管理人を捕まえることと異世界に何の関連があるのか全く分からず、目をゴシゴシとこすった。


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