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34. 一万個の地球

「ご主人様、何かあった?」


 シアンは透き通った青い瞳をパチクリとして、深刻そうな表情の玲司をのぞきこむ。


「あー、なんでこんなことになってるのか、さっぱり分からないんだ。教えてくれる?」


 シアンはうんうんとうなずくと、一つ一つ丁寧に説明を始める。


 世界は情報でできていること。地球はスーパーコンピューターの一兆倍の計算力のあるシステムで作られたものであること。そのコンピューターは海王星の中に構築されていて、一万個あること。


 シアンは空中に全長一キロメートルもある巨大なコンピューターの映像を浮かべ、身振り手振り交えて丁寧に解説していった。


 玲司はそのとんでもない話に圧倒されたが、この大宇宙の露天風呂に浸かっていたらすべてを信じざるを得ない。それに、何しろ一回死んで生き返らせてもらっているのだ。死んだ人間が生き返る、それはつまりこの世界が情報でできている何よりの証拠でもあったのだ。


「ふへー。なんだかとんでもない話だね」


 玲司はため息をつき、足元に広がっている巨大な(あお)い惑星を眺める。この中に地球が一万個息づいていることを想像してみたが、八十億の人間が暮らす壮大な地球が、この(あお)いガスの塊の中にたくさんあるというのは、さすがに飛躍しすぎていてイメージがわかなかった。


 渋い顔をしていると、シアンが、


「まあ、そうじゃないかなって思ってたけどね」


 と、ドヤ顔で言う。


「え? シアンは知ってたの?」


「だって順調に進化していったら僕だって地球は作れるんだゾ。だったらもう作っている人がいると考えた方が自然なんだな」


「あ……、そ」


 玲司はそんなこと、全く気が付かなかった。見破れなかった自分がちょっと負けた気がしてむくれた。


「え? じゃ、そうなると、美空は知ってて俺に絡んできたってこと?」


「そうだね。ちょっと怪しかったゾ」


 確かに変な登場の仕方をしてたし、女子高生にしては手際が良すぎたことを思い出しだ。そもそも車を運転したこともない女子高生が、スーパーカーで宙を飛べるはずなどないのだ。


 玲司は首を振って両手でお湯をすくい、ビシャッと顔を洗った。


「あーあ、『彼女になって』なんて言っちゃってたよ……」


 水しぶきがキラキラと輝きを放ちながら星空を舞っていくさまを、玲司はぼんやりと見つめた。


 シアンの話によると、ミリエルは四千年前から管理者(アドミニストレーター)をやっていて徐々に担当の地球の数を増やし、今は八個任されているそうだ。そして、それを良く思わないライバルが妨害工作をはじめ、副管理人が寝返って管理が上手くいかなくなっていること。それが玲司の地球の人類が滅亡した原因ということだった。


「じゃあ、その副管理人を見つけ出して捕まえればいいってこと?」


「そうだゾ。でも、どこにいるか分からないし、管理者権限を持っているから簡単じゃないんだゾ」


「あぁ、敵も超能力者みたいなもんだからなぁ」


 玲司は渋い顔をする。


「でも、だいじょぶ。ご主人様ならできるんだゾ」


「ちょっと待って。俺はただの人間なの。そんな超能力者相手に勝てる訳ないじゃん」


「だいじょぶ、だいじょぶ。『言霊だゾ!』って言ってれば上手く行くゾ!」


「また、そんな、無責任なこと言って!」


 玲司は眉を寄せてシアンをにらむ。


「いざとなったら僕が守ってあげるんだゾ! きゃははは!」


 シアンはそう言って玲司に抱き着いた。


「いや、ちょっと、お前、当たってる! 当たってるって!」


「え? 何が当たってるの?」


 シアンはそう言って玲司の背中にグリグリとその豊満な胸を押し付けた。


「おまえ! わざとやってるな! もう!」


 急いで振りほどこうとした玲司は、またバランスを崩して温水玉の奥へと潜っていってしまう。


 ぐわっ! ボコボコボコボコ……。


「ああっ! ご主人様ぁ!」


 シアンは再度玲司を救出しに潜っていく。


 シアンにお姫様抱っこされながら、玲司は恥ずかしさと情けなさで真っ赤になっていた。


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