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泥酔した女性を帰りに拾ったんだが、それがなんとうちの社長だった!?

作者: 黒音 ユキハ


「はぁ〜〜〜、うーーーん。あーーー、終電間際に電車に乗れたぜ……」


 どうもこんにちは。


 去年、中堅IT会社に入社した1年目エンジニアこと田部康弘です。


 今日も仕事が押しに押して……家に帰れたのが午前2時。


 日々、疲れます。はい。


「ふぁーーー、もうすぐ家のベッドだぜー」

「マイベッドが恋し……おっ、とっとっと!! ぶひゅっ!!」


 康弘は街灯が近くにない暗がりで何かに躓いて盛大に転けた。


「痛っっ、何だ〜!?」


 康弘は恐る恐る携帯のライトで何に躓いたのか確認をした。


 ライトの光で浮かび上がったのは……


 一升瓶の日本酒を片手に持った状態でブロック塀に寄り掛かりながら泥酔している女性であった。


「痛っっ、鼻がヒリヒリするぜ。大方この人の足に躓いて鼻を擦ったんだろうなー。……うんで女性の方、こんなところで寝てたらいけませんよ」

「すぅ、すぅ、すぅ………」

「あの!! 風邪ひきますよ!?」

「ふわぁ〜、もー呑めないよ〜、うへへへ」

「ダメだ、これは。仕方ない、交番まで運ぶか」


 女性に対して質問を繰り返した康弘は、疲れている身体に鞭を打って近くの交番まで彼女を運ぶことを決めた。


「よっと、結構重いな。まぁ、寝てるから聞こえてないと思うけど……酒瓶どうすっかな? はぁ、軽い方が良いし……そのままにしとくか。てか、近くの交番どこだったっけ?」


 彼女を背中におんぶした状態でぶつくさ言う康弘。


「まあ、家の近くまで来たらどっちにあるか分かるかな?」







「はぁ〜、やっと家に着いたぜ……うんで、交番、交番、こ……うん?」

「ここが私の家なの!! 203号室〜〜!! すぅ、すぃ、すう……」

「えーーー、まさかのお隣さん!?」


 家までやっと辿り着いた康弘は、背中が少し軽くなったことに気づいた。


 康弘は後ろに振り向くと女性が衝撃なことを伝えたあと……そのまま寝た。







「まさか!? お隣さんだとはな……びっくりして眠気が吹き飛んだぜ。それより、部屋開けるんやから、鍵を貸してもらわなな」

「あれ? 空いてる!? って、き・た・な!!」


 康弘は女性を背負って扉の前まで来た。


 鍵は閉まっていなかった。


 っていうか、目を背けたくなるほどの汚部屋だった。


「汚い!! よくこんなところに過ごせるよね〜、足の踏み場も無いに等しいし……それより、彼女をベットに寝かしてから……帰るか」

「よっこいせっと、ふぅ〜。重かった……」


 康弘は女性をベッドに寝かしてから自宅に帰るのであった。











 


「はぁ〜、めんどくさいなぁー。今はほんと忙しい時期やのになー」


 康弘はぶつくさいいながら廊下を歩いていた。


 なんや本部のお偉いさんがうちを見に来るらしい。


 ほんと、勘弁してほしいわ。まったく……


「え? あんたは!!」


 独り言を終えた時、不意に目の前にあの女性が現れた。


「はい……」

「あの時の一升瓶女!!!!」


 女性からの返答を待たずして、康弘は彼女に物申した。


 そう、あの時の酔っ払い女性と会社の廊下でばったり出会ったのであった。


「出会って早々。一体何ですか、貴方は!? 」

「同じアパートのお隣の者ですが!? 何か?」

「えっ、うそ!? お、お隣さんなんですか!?」

「って、わ・た・し!! これでも会社のトップですよ!! 敬ってください!!」


 どうもこんにちは。


 絶賛、会社の廊下で生意気な男性と言い合っている中堅IT会社の敏腕社長こと星崎林檎です。


 まさか………お隣さんだとは、、、


 ってか……生意気です!!


「そうや。で、何であの時は敬うべき存在の

あんたがあんなに酔うてたんや? 社長ともあろうお方がなして?」

「うぐっ!! あの時はたまたま嫌なことがあって無性にお酒が飲みたくて……つい」

「ついで済んだら何でも良えはあきませんよ。それにあのまま寝てたら何が起きていたか、もうちょい自分のこと、考えたらどないですか?」


 まったく、あの時の女性がうちの会社のトップとか……世の中、世知辛いわー。


 ってか、自分のことをちゃんとせいへんのに仕事がホンマにできるんかいな……


 ほんま心配やわ〜っと思う康弘であった。


「いきなり貴方は何なんですか!! 私は私です!! 貴方には関係ないでしょ!!」

「関係大有りじゃボケい!! 同じ会社の者であり、尚且つ同じアパートに住んでる者通しや。あんたが倒れでもしたら周りが大変なんや、それぐらいわからんかいな!!」

「……わかってますよ!! それくらい!! 分かってます!!」


 何なんですか!! この男は〜!!


 心配なのは分かりますけど……もっと言い方ってもんがあるでしょうがー。


 うがあぁぁー、腹立つ〜っと思う林檎であった。


「………はぁ〜、こんなところで言い合ってても埒があかへん………しゃあないからあんたの部屋? 汚部屋を掃除したるさかい。良えな?」

「ちょっと待ってください。いきなり何なんですか? 貴方は!! 掃除? あの部屋には大事な……」

「大事な物があるんやったら、先に片付けといてくれへんか? ………オマケで洗濯と料理もするから良えか? まぁ、掃除・洗濯・料理をする代わりっていうのも何やけど、俺はまだ一年目なんだわ。だから分からんことがようさんあって大変やねん。って、いうことで……教えてくれへんか?」

「うぐっ、良いでしょう。その案に乗りましょう!! 但し!! 私も忙しいので1週間だけですからね!!」


 あの汚い部屋は綺麗好きな俺としては、見過ごせられへん!! まして隣やし!!


 了解も得たことやし、仕事が終わり次第、着手するかー。なんて、康弘は思うのであった。


「おおきに!! あっ!! それと……眉間にシワ、寄ってるぞ? 可愛い顔が台無しやで〜」

「もう、何なんですか貴方は〜!!」


 最後の最後まで、この男はー。


 まったく!! 私の顔に何をするんですかー!! 最悪です!! っと思う林檎であった。


お読みいただき、ありがとうございました!


少しでも面白い!! 続きが読みたい!! と思っていただけたら、ブックマーク、評価、感想をよろしくお願い致します。


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