大魔王と親友
「なろうラジオ大賞2」応募作品です。
①作品タイトルに以下のワードを入れる。
ブラック企業 / 必殺技 / 忍者 / おにぎり / ドラゴン /
文学少女 / 名探偵 / ボロアパート / 大魔王 / 聖女 /
サラリーマン / 幕末 / ブラウン管 / 伝説 / 農民 /
おねぇ / 入道雲 / 暇つぶし / 偽物 / 牛乳 /
コントロール / 森の /
②オリジナル作品であること
③1000文字以下の作品であること
「なぁ、大魔王って知ってるか?」
男子高校生二人が、休み時間中に机を挟んで雑談をしている。
「なに? 大魔王?」
「そう、大魔王」
「あ~、え~っと、あれだ、佐々木。ピッチャーの」
「そりゃ大魔神だ」
「あぁ、そうか。あ~っと、あぁ、あれか、ピッコロ大魔王か」
「そう。いや、ピッコロじゃないけど。その大魔王」
「それがなに」
「大魔王っていうくらいだから、魔王とは違うわけ、わかる?」
「そりゃ違うんだろう。なにが違うのか知らんが」
「魔王の中の魔王が大魔王になるわけ」
「ふ~ん、じゃあ大魔王の中の大魔王は?」
「えっ!? だ、大魔王の中の大魔王は……ちょ、超魔王だ」
「う~わ、安直」
「う、うるさい! そんなこと言ってんじゃないの僕は。大魔王は、そりゃもう選ばれし魔王なわけよ。わかるでしょ?」
「だからなんだよ、はよ進めろ」
「かくいう僕も、選ばれし人間だから、人間の中の人間、大人間ってことになる」
「なるか! お前のどのへんに選ばれし人間の要素があんだよ、言ってみろ」
「えっ、え~っと、まずは足が速い」
「お前平均以下だろうが」
「え~っと、頭がいい」
「それも平均以下だろ」
「イケメン」
「ブサイクじゃねぇか」
「謙遜がすぎる」
「矛盾したこと言ってんな」
「ちょっと、なんなのさっきから。否定ばっかして、それでも僕の親友なの? ここは、いよっ! とか、そのとおり! とか合いの手いれるところでしょうが」
「なんだそりゃ。歌舞伎じゃねんだから」
そういうと男子は、引き出しの中から教科書を取り出し、次の授業に備えだした。
「おい! まだ話は終わってないぞ」
「なんだよもう、まだなにかあんのかよ」
「あぁ、そりゃもうすんごいこと発表するからね。それ聞いたら君なんかもう、感動して僕に抱きついてくるだろうね」
「なるわけねぇだろ、気持ち悪ぃ」
「いいや、なるね。断言する。で、僕も君を、よ~しよしよしよしっつって撫でて――」
「犬じゃねぇか、ふざけんな」
「ステイ!」
「なにがステイだ、腹立つわぁ」
「はい、じゃあ発表しますよぉ~、いいですか~? 1回しか言いませんからよ~く聞いてくださいねぇ~」
「なんだその、髪の毛を耳にかける仕草は。誰の真似だよ」
「はい、え~、魔王の中の魔王が大魔王、人間の中の人間が大人間、そして……親友の中の親友が大親友……つまり君のことだよ」
そういうと男子は、わざとらしいくらいに満面の笑みを浮かべた。
「……気持ち悪っ」
「なんで!?」