第五話
宿に帰るとお待ちかねのステータス更新!
名前:アキミチ
種族:人族
年齢:16
職業:武具師
レベル:10
HP:1000/1000
SP:1000/1000
STR:1(5)
INT:1(5)
DEX:5
スキル:【スラッシュ】【ロングスタブ】【エアブレイド】【陰陽中】【ファイアスタンプ】
スキルポイント:5
パッシブ:【経験値30%UP】【DEXフィルター】【武具製作】
スキルポイントはもちろん全部DEXに振る。
新しく【ファイアスタンプ】を覚えた。
実は、ここまで覚えているスキルは全て剣士と同じスキルだ。
武具師は装備する武器で使えるスキルが変わるので装備を変えればスキル群も変わるのだ。
他に真新しいこともないのでステータスを更新したら寝ることにした。
翌日。
朝か3階層に来ていた。
3階層のエリアボスを倒すためだ。
3階層はそこそこ広く、ボスのトレントに会うまでしばらく時間がかかった。
3階層の奥まできてようやくボスが渦から出てきた。
ボスが渦から出てくるということは、数十分前に倒されたということだろう。
このトレントをソロ討伐する最低レベルは5である。
5だと、装備に緑風の刀が必須になるが、レベル10で緑風の刀もちの俺には余裕である。
と、言いつつも油断は出来なかった。
なぜなら俺は防具が初期装備なので攻撃を1撃もらうだけでたちまちピンチになる。
しかし、‘‘ピンチ‘‘になるということは攻撃を1回は受けれる余裕があるということだ。
この発言を聞いて何を言っているのだろうと思うプレイヤーの方が多いだろう。
しかし、トップともなれば低階層で攻撃など貰わないぐらいの力量はある。
なのでしばらくは初期装備でも問題ないのだが、『外』は命の危険があるらしいので街から出る場合は考慮しよう。
そういっている片手間にトレントを倒した。
戦闘を簡単に説明すると、開幕に【ダッシュ】【刀を抜刀】の動作を組み合わせてセルフ【居合切り】をくらわせ、【スラッシュ】の3撃めにスキルを挟みこみ【ファイアスタンプ】でダメージを稼ぎ相手の攻撃範囲から逃れるために【ロングスタブ】で突きながら離脱。
トレントの攻撃が終わり、離れている俺に向かって大ジャンプをしてきたので【陰陽中】のカウンターで沈めた。
これぞトッププレイヤーといえる流れるような運びだったと思う。
メニュー画面で今回のドロップ品を見ていると、『トレントの核』がドロップしていた。
これは、武具に風属性を付与する優秀な素材だ。
素早さを重視する俺としては是非防具につけて重量軽減を計りたい。
4階層解放をするついでに納品をするためにギルドへ向かった。
「だから!今日も討伐できたんだから記録に残ってるでしょ!」
冒険者ギルドに入るなり昨日の赤髪の少女が怒鳴っていた。
俺の中でこの子はクレーマーというポジションを不動のものにした。
「ですので、本人の記録に残らなければいけないのですよ。」
パーティ討伐とはいえ、倒したときにその場にいなければカウントされないのだ。
雑魚モンスターはそもそも個人計算なので討伐記録が欲しいなら自力しかない。
俺は受付にいってロリ巨乳ゆるふわメガネ族にプレートを提示する。
「納品お願いします。」
「受けたまわりました!」
申請がきたので承認ボタンを押す。
「前回の結果から3等級への昇格が決まりました!そして、4階層が解放されました!おめでとうございます!」
「ちょっと!そいつ1人じゃない!1人の奴が突破出来てパーティの私が認められないなんておかしいわ!」
飛び火してきた。
見事な言いがかりだ、ホレボレする。
「サーシャさん処理終わらせておいて。」
「あ、はい分かりました。」
ロリ巨乳ゆるふわメガネ族は巻き込まれずに済んだと、喜びの表情で業務に戻る。
「ちょっと無視しないでよ!」
「すみません、そういったことを言われましても自分にはどうこうする権限がないので。」
「そんなこと知ってるわよ!私の討伐記録に載らないのがおかしいって言ってるの!」
「それは大変ですね、討伐記録に載ることを祈っていますよ。」
「なっ!祈られても討伐記録には載らないでしょ!」
俺にどうしろというのか、嫌な気がしたので逃げることにした。
「では、失礼します。」
「ちょっと!待って!」
逃げようとしてるやつが待ってと言われて待つわけない!
俺は逃げるようにギルドから出ると、急いで人ごみに紛れた。
それでも追って来ようとしていたので路地裏に入り屋根に上り壁をつたい全力で撒かせていただきました。
しばらくお昼ご飯も食べてアヤさんのことが気になったのでメールを送ってみる。
すると、無事3階層突破したそうだ、ギルドに報告した後赤髪の女の子に絡まれた以外問題はなかったみたいだ。
明日聞きたいことがあるから会えないかと誘ってOKをもらったが逆にあっちからも今日会いたいとお誘いがあった。
パーティーメンバーに是非俺を紹介したいらしい。
用事もないから夜にでも会うことになった。
それまで暇だったので、『トレントの核』を使い防具を作ることにした。
素材が少し足りなかったので、奮発してお店でいい素材を買ってきた。
「よし!『武具製作』!」
製作画面の防具一覧へその中のコートを選ぶ。
「黒緑のコートかな。」
・黒緑のコート:風を纏った黒いコート。素早さをあげる。
・ダメージ減少:中
・素早さ:1.2倍
・特殊:風魔法を武器から放つことができるようになる。
「やっぱボスの核を使うと破格な性能になるな。」
普通の防具には特殊な力はつかないが、ボスの核を使うと付与されるのだ。
さっそく黒を基調とした、緑のラインの入ったコートを着てみる。
「よし!いい感じ!」
装備BOXから刀を取り出して腰に下げる。
「じゃあ4階層いきますか!」
3階層を突破したので『外』もいけるが、まだ情報を集めてないので塔でお試しをする。
4階層から6階層は沼地や池など水凄モンスターのエリアとなる。
4層のウォータープラントや防御力の高いネックタートル、頭に殻を被ったエッグケロッグを狩り続けた。
コートのおかげで移動時間が早くなり今までとは比べ物にならないくらいの量を狩った。
アキミチがトップの技量をもつからできることであり、普通はここまでの相乗効果を生まないはず...
夜になり約束の時間に間に合うようにお店へ向かった。
中に入ると、すでにアヤさんたちは来ていた。
すると、こちらに気づいたアヤさんが手を振ってきた。
気恥ずかしながらもそちらに向かった。
「こんばんわ皆様、3等級冒険者のアキミチといいます。」
俺が挨拶をするとみんなびっくりしたような顔をした。
「あ、アキミチさん!昨日は2等級でしたよね?」
「うん、そうだよ」
何か凄いことらしいので当たり障りのない返事をしておいた。
「み、みんな!自己紹介しよ!」
アヤさんは俺を記憶喪失だと思っているので俺がボロを出さないように気をつかってくれたのだろう。
「おう!俺はカイト1等級冒険者で職業は剣士だ!」
男の子は元気に自己紹介してくれた。
「私はリア、1等級冒険者で職業はシーフ」
リアさんはカイトが怒っているときに止めに入った女の子だ。
「あたしはメアリー、1等級冒険者で白魔導士や!」
「私はネル、1等級冒険者でモンクです。」
リアさんは小柄だが残りの2人、メアリーさんとネルさんはなかなかの胸部装甲をお持ちだった。
というかカイトのハーレムパーティかよこいつが主人公で間違いないな!
魔法使い、剣士、シーフ、モンク、白魔導士と、非常にバランスの取れたパーティ構成だ。
前衛を1人削ってバフ・デバフ要員を入れるのもありだ。
「それでは席に座りましょうか。」
アヤさんが着席をして食事をしながら話し始める。
「アキミチさんの指導した内容を聞いたけどよ、未だに信じられないぜ!」
「そうそう、歩いて攻撃するだけで当たるなんて!」
と、リア
「えへへ、これで3年生に上がれる。」
アヤさんが嬉しそうにつぶやく。
「まぁ、止まってるよりも動きながらの方がリズムを取りやすいですからね。」
「それ、不思議ですよね。結果が出てるので納得は出来ますけど普通は止まってしっかり狙ったほうが当てやすそうなのに。」
とメアリーが聞いてきた。
「対人戦をする時相手の動きをみてタイミングを計るでしょ?その時無意識にリズムを取っているんよ。それを簡単にしたのが‘‘歩く‘‘という動きなんだ。」
「自分が動くことに無意識にリズムを取るってこと?」
「そういうことなんだ。」
早くも理解を示すリアさん。
「あー!わかんねー!難しいぜ!」
全く理解できていないカイト。
「まぁ、これは経験していくうちに自然と身に着ける技術だからわかんなくても大丈夫だよ。」
「そうなのか?」
「ああ。まぁこれを意識して戦闘に取り入れられるならアヤさんみたいな子も助けられるし、何より対人戦で相手の間合いを崩すこともできるようになるよ。」
「めちゃくちゃ重要じゃねえか!」
できるだけボロが出ないようにアヤさんにフォローを入れて?貰いながらアヤさんたちとの会合を終えた。
話を聞く限り、このパーティは仲良し組と幼馴染で組んだらしい。
なので誰かを見捨てるという選択肢はないらしく、学園卒業までこのパーティらしい。
さらに聞いていくとこの世界では白魔導士という職業は十全に活用されているわけではなく、どちらかというとパーティの火力が下がる原因として上位パーティにはいないらしい。
この世界でゲーム時代の戦略が通用するかまだ確認できていないので何かアドバイスをするということはしなかったが、白魔導士が不遇なのはちょっとかわいそうだ。
何だったらパーティを支える中心的な役割を担うはずなので、機会があれば立ち回りなどを教えてみよう。
集まりも終わり、帰りになったとき俺はアヤさんに話しかけた。
「アヤさん!」
「はい?なんでしょう?」
「あした時間ありますか?」
「はい、大丈夫ですよ!」
「では、昼の3時頃からできませんか?」
「あ、それなんですがアキミチさんには是非指導の方をまだ続けて欲しいんですがお願いできませんか?」
こちらもその放が話しやすくなるのでやぶさかではないが、こちらの秘密を握っていいるということを利用しての提案なら油断ならないな。
「ええ、いいですよ。」
「じゃあ、明日の昼後からでどうでしょうか?」
「わかりました。では昼から夕方まで練習にあててその後情報交換としましょう。」
無事明日の約束を取り付けた。
「何々!2人で逢引?」
メアリーさんがからかってきた。
「もう、メアちゃん違うよ!依頼の期間がまだまだ残ってるから指導の約束をしてるだけだよ!」
「ホホ~!そういうことにしときましょうか!頑張れアヤ!」
からかったまま勝ち逃げを決めたメアリーさんは先に歩いて行ってしまった。
「もう!すみませんアキミチさん!では明日よろしくお願いしますね。」
「はい、あの送っていきましょうか?」
「え!いや、みんなと一緒に帰るので...あれ?」
学園生は寮生活なのでみんな帰りは一緒のはずなのだが、アヤさんは置いて行かれていった。
これは完全に俺との仲を取り持っているつもりなのだろうが、会って2日の相手にまかせていいとはとても思えなかった。
「お、置いて行かれた!」
「ははっ!お茶目な仲間たちですね。送っていきますよ。」
「あう、お願いします。」
帰りに学園のことなどを聞きながら送った。
ステータス更新は明日かな!