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第三話

翌日、冒険者ギルドへ納品に来た。


「はい、それではプレートの開示をお願いしましゅ!」


朝から癒されている。


「それでは、スキャンいたします!」


俺はスキャンの承認ボタンを押した。


ロリ巨乳ゆるふわメガネ族の女の子が俺のステータスプレートをスキャンすために端末をかざしながら少し前かがみになった。


「!」


それは、カウンターに‘‘乗り‘‘夢の造形をかたどっていた。


今まで不干渉だったはずの、周りの冒険者達の雰囲気が変わったのを感じる。

これは...

男の‘‘夢‘‘への渇望と、ルーキーである俺へのプレッシャー、このギルドの守るべき矜持!

ここには男達のプライドをかけた戦いがあったのだ!


しかし、俺は紳士である!

守ることはしても穢しはしない!

俺はスッとカウンターへ近づき、スキャンしやすいようにした。


「あ、ありがとうございましゅ!」


俺の気遣いにお礼を言ってくれる。

これにより、カウンターから手を伸ばすだけで届く距離になった。

周りからのプッレッシャーが消えたと同時に残念そうな雰囲気になる。


「いえ、お気になさらずに。」


上手く紳士を執行した俺は。欲望の眼差しから彼女を守った。


「では、スキャンが終了しました。報酬はそのまま自動的に振り込まれます。今回の納品により2階層の解放が許可されました。」


窓口ではあまり情報を言わない方式のようだ。

まあ、報酬がいくらとか、等級がどうとか言われるのは好きじゃないのでありがたい。


「アキミチさん、一日で2層解放は早いですね!冒険者登録をする前に戦闘経験があったんですか?」


ロリ巨乳ゆるふわメガネ族の受付嬢から質問された。


「ええ、少しですが...」


「戦うのが上手いんですね!」


「いえ、そんなことありませんよ。」


可愛い子に褒められて悪い気はしない。


「ご興味があればでいいんですが、ギルド発注のクエストを受けてみませんか?」


受付嬢にクエストを勧められた。

ゲーム時代は、クエストといえば収集系や、討伐系が基本で、報酬はアバターだったり特定のユニーク装備を作るための素材だったりした。


「内容はどういったのですか?」


収集や討伐以外にもレイドがあったが、これはボス戦で報酬がない挑戦系のクエストだ。

もちろんドロップアイテムや、経験値は破格となっている。


「新人冒険者の戦闘指導です。」


ゲーム時代にはなかったこの世界の住人からのクエストだった。


「新人冒険者?自分も新人なんですが...」


すると、ロリ巨乳ゆるふわメガネ族がちょいちょいと手招きする。


「討伐記録を拝見しましたが、一日であの数を討伐するのはありえません!効率的に狩れるあなたを見込んでお願いしたいのでしゅ!」


俺の耳元で囁くようにかんd...説明した。

正直ぞくっとした。

もちろん、周りの冒険者の殺気を一身に背負った武者震いだと言っておこう。


「俺の実力を見込んでくれるのは嬉しいですけど、内容を聞いてみないとわかりませんね。」


この世界にきてから、初めて業務以上の接触をする可能性のある依頼だ。

情報を集めるチャンスとともに、どれだけの情報を渡してもいいのか、つまり騒ぎにならないか気をつけなければならない相手である。


「それでは、説明をしますので応接室までお願いできますか?」


俺はギルドカウンターの横にある扉から入り、応接室に案内された。


「それではそこにおかけください。」


ロリ巨乳ゆるふわメガネ族はそう案内すると、扉から別の人物が入ってきた。


「初めまして、アイテール支部庶務係のアビダルと申します。」


お姉さん系の金髪絶壁耳長族が挨拶をしてきた。


「サーシャちゃんは戻って受付をお願いね。」


ロリ巨乳ゆるふわメガネ族の名前を初めて知った。


「それでは説明をしますねアキミチさん。」


アビダルは端末を見ながら話し始めた。


「今回の依頼者はアイテール学園2年生のアヤさん女性です。」


凄く、聞き覚えがある。


「内容は、スキル指導。彼女の職業は魔法使いで報酬は成功報酬で10万Gです。成功条件は彼女の討伐記録に1階層のモンスター全種を記録することです。」


パーティを組んでいれば経験値は均等に分けられるが、ドロップや討伐記録は別なのだ。


「以上が今回の依頼ですがいかがですか?」


重要な彼女の力量や、このクエストの失敗記録などを言わないところにずる賢さを感じるが余計なことは言わないことにしているのだろう。


まぁ、一度直接みているので大丈夫だが普通の人は、とどめだけ彼女に任せれば簡単にクリアできると考えるだろう。


このまま受けるのはちょっと癪なので揺さぶってみる。


「他に俺に伝えておくべき情報はありますか?」


暗に失敗する要素の情報を持っているのか聞いている。


「懸念事項がございます。」


聞かれれば答えるスタイルらしい。

隠してはいないが、聞いてこないと教えない意地の悪さを感じる。


「彼女は冒険者登録をして2年、未だに討伐記録がございません。」


ちょっと声のトーンが下がった。

この説明をするとみんな断るのだろう。


「2年で討伐記録ゼロの子に討伐させる程鍛えろって割には報酬が安くありませんか?」


この世界の相場を知らないが、吹っかけてみる。


「これは、個人からの依頼なので報酬はご本人とご交渉ください。」


「では、報酬以外の内容は了承できますので本人と交渉させていただいてもよろしいですか?」


「かしこまりました。ではこちらから依頼者へ連絡しますので都合のよい日程をお聞きしてもよろしいでしょうか?」


「本日の夕方はいかがでしょうか?」


「わかりました。依頼者と連絡取れ次第こちらからメールをお送りいたします。」


どうやらメール機能も使えるらしい。


「了解しました。では連絡を待ちますね。」


「はい、では後程ご連絡いたします。」


話は一旦終わり、帰ろうかと腰をあげかけた時また話しかけられた。


「すみません、少しお話しいいですか?」


「話?」


「ええ、ここからはクエストの依頼とは関係ない...いえ、全く関係なくはないですが私‘‘個人‘‘としてお話ししたいので。」


「はぁ、ではお聞きしますよ。」


個人的にこの依頼へのなにかしらの思いがあるっぽいので少し興味をひかれた。


「ありがとうございます。と言っても言えない部分をぼかすのでお許しください。」


ギルドの決まりでいえないことは言えないらしい。


「この依頼主なのですが、私の妹が通っている学園生なんですよ。そこで、私の妹がその子の指導をしていたのですがなかなか上手くいかず、スキルの威力等は上がったのですが命中力がどうしてもよくならなかったそうです。」


「ほう」


「そこでギルドに依頼することにしたのですが、彼女は学園生。いろいろな先生方にも教えて貰っていました。」


「それでもダメだったと?」


「はい、それで藁にもすがる思いで冒険者ギルドに依頼を出したそうですが...現状解決できていないのです。」


つまり、冒険者含め彼女の問題点を解決できていないので、この依頼を受けてくれる人が少なくなっているのだろう。


「どうにかしてあげたいのはやまやまなのですが...」


「難しいと...」


「はい...しかし!今日1階層とはいえ、物凄い量の採取品を納品した冒険者が現れたのです!」


俺のことだろう。


「討伐記録も見ましたが、1日中狩り続けたとしても無理な...そうまるでトップギルドが本気で1階層で狩り続けた量と同じぐらいの納品と討伐量だったのです。」


半日もかかっていないが、かなりの量だったらしい。

今度からは自重しよう。


「そこまでの討伐量を個人で持ってきた方はさぞかし効率よく狩りをしていたといってもいいでしょう。」


確かに、なんとなくリポップの場所はやっていくうちに自然と覚えていったと思う。


「そんな高い技量を持った方ならもしやと思ったのですよ。」


なんか期待しているような、キラキラした目で俺を見ている。

美人さんに見つめられるのは悪い気はしないが、なかなか恥ずかしい。


「はぁ、そんな期待されても成功するかはやってみないとわかりませんよ?」


「さらに!この依頼を話した時に、こちらの意図を読み取り、依頼主の現状を読み切ったような質問をうけました!それでいて、この依頼を無理だとは言わなかった!これは、なにかしらの解決方法に検討がついているのではないですか?」


なんと、この耳長族通称エルフ族の職員は俺の態度から推測を立てたらしい。

侮っていた。


「えぇ、実はその依頼主らしき人物が狩りをしている所をみたんですよ。」


「はっ!そこでその子の問題点をみつけたと?」


察しのいいエルフは嫌いよ!と言いそうになったのを我慢した。


「えぇ、しかしそれは誰も教えなかった技術なので報酬が安すぎないかと提案したのですよ。」


「なるほど、あなたに期待せずにはいられませんね。

もし、この依頼が成功すればギルドからも色をつけさせていただきますよ!」


報酬が増えるのは素直に嬉しいので素直に頷いておく。


「お引き留めして申し訳ありませんでした。後程ご連絡いたします。」


「了解しました。」


そういって今度こそ俺はギルドを出て行った。

受付前を通った時にロリ巨乳ゆるふわメガネ族ことサーシャさんがめっちゃみてきたけど、名前を教えてくれなかった意趣返しとして気づかないふりをした。

クラスメイトで好きな子をいじめてしまう心理とはこのようなことなのだろうか...違うな。


この後もちろん狩りを2階層でした。

夕方ごろにギルドからメールがきたので内容を読んでみる。


1時間後に会うことができる、という内容だったので了承のメールを送り狩りを続けた。


納品報告をするために待ち合わせ時間より少し早めにギルドに来た。


「ちょっと!パーティで倒したんだから4階層解放してよ!私が倒されたのは戦略上仕方なかったって言ってるじゃない!」


どうやら受付で争っているようだ。


「そう言われましても、トレントを討伐記録に載せることが解放条件となっておりますのでギルドではどうしようもないんですよ。」


論破されていた。

プレートの記録を元に塔が解放されていくので、ギルドがどうのこうのという話ではないのだ。


「なら、ギルドがちゃんと私の討伐記録にトレントをいれなさいよ!他のパーティメンバーの記録に載ってるからズルじゃないってわかるでしょ!」


「すみません、ギルドで討伐記録はいじれません。」


討伐記録をいじれたら大問題である。


「じゃあどうしろっていうのよ!」

そんなこと言っても、今度は倒されずにトレントを討伐するしかないと思うんだが...

というか、さっきから怒鳴っている女の子は、初日に俺の上にまたがってきた赤髪の女の子だった。

真っ赤な髪と同じように顔も真っ赤っかだった。


そんな言い合いを避けながら空いている受付に行った。

「すみません。納品お願いします。」


ロリ巨乳ゆるふわメガネ族ことサーシャさんが空いていたのでお願いする。


「ひゃい!」


騒ぎを聞いていたのか不意を突かれたように返事をした。


「プレートの表示をお願いしゅましゅ!」


わざと噛んでるようにしか思えない噛み方をした。


「前回の討伐記録により2等級への昇格でし!今回の査定が終了次第自動で報酬が振り込まれます!今回の結果により3階層が解放されましゅた!」


何故か、階層の解放はすぐなのに等級の昇格は次回に後回しにされるらしい。

と言っても報酬は5分後とかには振り込まれてるんだが。


「うん、ありがとう。依頼の件でそろそろ時間だから来たんだけど先に部屋に入っててもいいかな?」


「はい!あ、既に依頼主さんが部屋で待機しておりますのでそのまま案内しますね!」


なんと!時間10分前にも関わらずもう待っているらしい。


サーシャさんがドアノックして部屋へ入る。

いよいよノーコン少女とご対面である。


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