第十二話
「な、なんのマネだ?」
「模擬戦を申し込むわ!私が勝ったら無条件で私の師匠になりなさい!」
「俺が勝ったら?」
「条件を一つつけて私の師匠になりなさい!」
なんと俺が師匠になることは決定事項らしい。
「話にならないな。」
「逃げる気!」
「なら条件を変えよう!」
「あなたが師匠になることは外させないわよ!」
なんとも理不尽な事である。
まぁそれならこちらもさらに理不尽になればいい。
「相手のゆうことを何でも聞くこと!」
「な、なんでも?」
「どうしたビビったか?言っとくがこれ以下に条件を下げる気はないぞ?お前にこれ以上をかける覚悟はあるか?」
かなり強気な性格なので相手は乗らざるを得ないだろう。
条件を下げるようなら興が覚めたとかいって逃げればいい。
「いいわ!じゃあ今すぐ闘技場へいきましょう!」
「いいだろう。」
なんと無条件で乗ってきた、自分で吹っ掛けといてあれだが馬鹿なのか?
いや、実は滅茶苦茶強くて今までこの方法で色んな相手を潰してきたのかもしれない。
「なら、鼻っぱしらを折ってやりますかね。」
「ん?なんか言った?」
「可愛い女の子が‘‘何でも‘‘って条件良く受けたな。相手が下衆野郎だとは考えないのか?」
「ふん!もちろんそんな要求してくる奴は下衆に決まってるじゃない!でも勝つのは私だから大丈夫!」
俺は下衆認定されているらしい。
なら下衆らしく戦いますかね。
俺は装備を『ネックレス』と『短剣』にして闘技場へ向かった。
俺たちはお互いに向かい合い武器を構える。
「ふぅ、アヤさんと模擬戦の練習しといてよかった。」
「なんか言った?」
「なんでもないよ。」
「そう、私はタロス王国アルロス公爵家長女オリビアいざ尋常に勝負を申し込むわ!」
なんと、公爵令嬢だったらしい。
「俺は4等級冒険者『ホワイトセイバー』所属ナンバーⅹⅢいざ尋常に勝負!」
相手がビックリした顔をしたが口上を述べ終わったら勝負開始だ。
まぁその驚きの‘‘硬直‘‘を生むためにわざわざ『ホワイトセイバー』と名乗ったのだ。
オリビアは不意を突かれたものの‘‘まだ‘‘勝負は始まったばかりと言わんばかりに落ち着きを取り戻した。
だが、その落ち着きは一瞬の気の緩みになる。
戦場では落ち着くのは大事だが、‘‘気‘‘の弛緩がしっかりできていないと隙になってしまうのだ。
ここまでのオリビアを見る限り俺が負ける心配は微塵もないだろう。
何故ならもうすでにオリビアは俺の術中にハマっている。
勝負は一瞬だった。
オリビアの首筋に短剣を当てた俺が宣言する。
「俺の勝ちだな」