集結
「おーーーい!!!」
起きると謎の美少女が立っていた。ツバキではなく全く見知らぬ顔だった。
「よかった、起きてくれた!」
ーーーツバキ?いや違うなーーー
状況が理解できずぼー、としている陸也を見て少女は察した。
「ごめんね、魔王様。なぜツバキじゃなくて私がいるかというと...」
美少女はここから夜にあったことを端的に教えてくれた。
陸也が寝てから午前3時のこと。
アパートの屋根のようなところに少女4人が集結していた。真っ暗でしん、と静まりきっていた。
「ねえ、どうだったのツバキ?魔王様」
「似ていましたがまだ魔王とは言えるくらいまでではありませんでしたね」
「ミナはどうしたのですか?サボりですわね?」
「いや、夜は弱いからって...」
「それをサボりと言うのですわ」
「皆んなお腹すいてないー?」
全員が全員喋っているせいで収集がつかない状態である。それにツバキは気づいて話を切りだした。
「みんな、これからの方針を決めます」
「方針...ですか?」
この中で一番背が小さい少女が応える。
「えぇ、魔王様が住んでいる部屋はあまり広くないので5人も居たら窮屈になってしまうと思う。だから部屋にいるのは1人でいいと思う」
「それじゃあ敵が来たときに危ないよ!」
「そう、なので他の4人はすぐに駆けつけられる距離にいること」
「どの程度の距離なら許容なのですわ?」
ツバキが悩んだ、あまり距離というものを考えたことがなかったからだ。
「えーと...1キロくらいならいいんじゃないですかね」
「了解ですわ」
「今日ってどうするの?」
「どういうことですか?」
「え、だってツバキはもう魔王様に会ってることだし私も会ってみたいからさ!」
「あの私も...」
「私もですわ」
ツバキは驚いていた。こんなに会ってみたいとは全く予想がついていなかったからだ。
「.........分かりました私以外で決めてください」
「じゃあじゃんけんだね!」
ツバキは1人を除いて魔王にそんなに興味を持つとは思っていなかった。
そんなことを考えているうちに勝敗がついていた。
「私が勝ったから今日は私ね!」
「ナナコ、よろしくお願いしますよ」
「任せておきなさいって!」
ナナコと呼ばれた少女は元気に胸に拳を置いた。
「なるほど、俺が寝ている間にそんなことが」
「というわけで私の名前はナナコ、能力はゴブリンだよ!」
陸也は1つ疑問に思った。能力について。
ーー能力?多分戦闘に使うアレかーー
「あ、そういえば時間って大丈夫?」
陸也の思考を遮るように言われ、反射的に時計を見る。遅刻まであと10分であることを気づく。
「やばい、遅刻しちまう!」
「やっぱり学校は行くんだね」
すっ、とナナコから四角い黒い物体を渡される。
「これツバキ達と別れるとき渡しておいてって言われたから渡しておくね!」
陸也はこれが何かは分かっていないが大方俺を守ってくれる何かではないかと考えていた。
「ありがとな、ツバキにも言っておかないと」
その後素早く学校に行く用意しても遅刻まであと2分まで迫っていた。今まで皆勤賞のため、なるべくそれを台無しにしたくなかった。急いでいっても10分はかかる故陸也は諦めていた。
そんな時ナナコが提案した。
「多分学校だったら一瞬でいけるけど」
「本当か!?」
陸也は瞬間移動などがあるのかと期待したがその期待は簡単に裏切られた。
小脇に抱えてられて外へ出た。
「まさか...」
「いっくよーーー!!!」
跳躍した。しかし、陸也は悪い気は全くしなかった。退屈な日々の終わりを告げられたきがしたからであった。