久しぶりの再会
お互い、いつの日か告白してくるのだろうと…
「久しぶりだね」
「高校卒業して以来だからな」
なのに、今は…
「海斗が幼なじみだったなんて、嘘みたい」
「俺だって、千冬が幼なじみだったなんて…」
言葉が全然出てこない…幼なじみの時って、何を話していたんだ?
「ずっと連絡してなかったのに千冬から電話来たときは、心臓が飛出しそうだったよ」
「大事な話が海斗にあるから…」
私はあの時言えなかったことを言うんだ。
「その前に、海斗には幼なじみの関係を終わりにしようって言った理由を話さないとね…」
「終わりにしようって、言った理由…」
俺は高2のクリスマス前日、千冬に屋上に呼び出された。
告白されるのかと心を躍らせ屋上へ行き、千冬に言われたのは
「私に金輪際付きまとわないで…幼なじみの関係はこれでお終い」
冬空の下、俺は何時間そこで動けずにいたのだろうか…千冬の言ったことが信じられず俺は…
「なんで、先に行くんだよ千冬」
「私に構わないでって言ったでしょ!」
それから、俺は千冬に声を掛けたが無視をされ…いつしか俺も千冬に声を掛けなくなった。
しかし、卒業式の日…千冬が倒れた時、俺は真っ先に千の元へ駆け寄った。
「こんな辛い青春…やり直したい」
意識を失う前、千冬の言った言葉は今でも脳裏に焼き付いている。
「千冬、話そうとしてるところ悪いが外が騒がしくないか?」
「そうね。思ったより早くバレちゃったみたい…」
喫茶店の前には無数のパトカーが止まっており、救急車も来ていた。
「なんでも、そこのマンションで殺人事件があったらしいな」
「そうらしいな、ここら辺も物騒なもんだ」
そこって、千冬が住んでるって言ってたマンション…。
「海斗、行くわよ」
「行くってどこに?」
有無を言わさず千冬は喫茶店の外に飛び出すと…そこは、知らない場所が広がっていた。