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いざ、初仕事

どうも、タクローです。先に言っておきます。多少長いです。それでもいい人は、ぜひ読んでください。

さかのぼること、10時間。オレ、黒澤は死んだ。そして『空想異世界警備会社』なるふざけた会社に就職した。

「明日から君はミワ班に配属だよ。」オレの前でそう告げる物腰の柔らかいスキンヘッドの男性がオノミチさん。異世界警備会社の社長さんである。

オノミチさんによるとそこは寮から一番近いそうだ。

そんな話をした後、寮を借りる手続きをしてその寮で眠りについた。


転生2日目、オレは、今日から働くことになる会社に向かっていた。

午前8時。ニートだった頃は、まだ熟睡している時間である。

「昨日聞いたのだと、このへんか?」

寮から5分ほどの街中。そこには確かに、「空想異世界警備会社 ミワ班」と書かれた看板の立った一軒家があった。

「失礼します。」と一言いって中に入いると、そこにはすでに4人のおそらく社員であろう人たちがいた。

「今日から、お世話になります。クロサワです。」

「よろしく、俺はここの班長のミワだ。」ミワさんは、少しつり目のイケメンで、班長らしい風格がある、鋭い感じの人だ

ミワさんはオレの目をしばらく見たあと、「こんど飯奢ってやるよ。」と可哀想なものを見るような目でいってきた。なんだろう。すごく不安になる。

「一つ先輩のニシノだ。よろしくな。」ニシノさんは優しい先輩という感じの人だ。

「俺は2ヶ月前から働いている同期のクドウだ。」「同じく同期のアケチです。よろしくお願いいたします。」クドウ君はオレより背が低く、少し太り気味なようだ。

アケチさんはスリムで美人で典型的なエリートって感じの女性だ。だが、一番目を引くのはスーツの上からでもわかる形のいい胸である。

「それじゃあ、社員証明書見せてもらえるか。」ミワさんに言われオレは社員証明書を渡した。

「ふむ。『攻撃力守備力ともに普通。才能アリ 未確認』か。」

確かに裏にそんな事が書いてある。それより気になることがある、。

「すいません、その『才能』って何ですか?」

「ニシノ、説明してやってくれ。」

「あいよ。才能ってのは転生したり、生き返ったりするときに発現した特殊能力のことだ。ちなみに、ここの奴らはみんなもってるぜ。」なるほど、じゃあオレにも何かあるわけか。

そんな話をしているあいだにミワさんが何かをもって来てくれていた。

「それが制服だ。来ておけ。」

いたって普通のスーツのような制服をよく見れば、みんな着ていた。

「あと社員証明書に戦闘時のスーツの形状を描いとけ。」戦闘?そういえば、警備や争い事の解決も仕事だっていってたけどそれか?それなら、とびきり格好いいスーツにしなくちゃな。

これでも絵には自信がある。

何せ生前は漫画家目指してたんだ。成功しなかったが…

オレは社員証明書の裏に細かくかきあげた。これで準備は終わりらしい。

「それじゃあ、行くぞ。全員準備しろ。」

ミワさんの号令でみんなが一斉に動きだした。

どうやらこれから異世界にいって仕事をやるらしい。

「クドウ君、やっぱり異世界って遠いのか?」

「いや、新幹線で2時間ぐらいだよ。」

近っ!いや、近すぎだろ!てか新幹線通ってんの?

新幹線内

「今回の依頼は鬼ヶ島に増えすぎた鬼の討伐だ。報酬は1匹1万円。駆除数は問わないとのことだ。2つのグループに別れる。」話合いの末、ミワさんとニシノさんグループと、クドウ君とオレとアケチさんグループに別れることになった。

鬼の討伐は楽な依頼らしいのでオレの才能の全貌を知るには、もってこいなんだそうだ。

すぐに異世界に到着した。

異世界と言ってもあまり日本と変わらないといった印象である。唯一違うところはここの人達はみんな漫画みたいな顔をしている。確かに、とても鬼退治なんてできそうもない。だって、弱そうだもん。

「鬼ヶ島にはどうやって行くんですか?」

「船に決まってるでしょう。」アケチさんが何いってんだろうコイツって顔でオレを見ていた。

たっ、確かに…。

そんなこんなであっという間に鬼ヶ島に着いた。

そこは荒れて岩肌がむき出しになった、想像どうりの鬼ヶ島って感じだ。

「ヤバイヤバイヤバイヤバイ!」

オレたち3人は、ミワさんたちと別れた後、かれこれ10分はこの鬼たちに追われていた。

鬼は小学生くらいの大きさで頭に角の生えた赤色の生物だ。

「社員証明書を破れ!それで変身できる‼」

岩影にいち早く隠れたクドウ君がそう叫んでいるのがきこえる。

よく見ればクドウ君も横を走っているアケチさんも格好が変わっていた。

クドウ君は中世の騎士みたいな鎧を着ており、アケチさんはチャイナドレスっぽい服装になり、よりいっそう胸が強調されていた。

「あんまりじろじろ見ないでください。」

そんな恥ずかしそうに言われるとドギマギしてしまう。

童貞には刺激が強すぎる‼って、そんな事より早くしなくちゃな。本当に命が危ない。

社員証明書を破くと一瞬、目の前が真っ白になった。

「うぉっ!本当に変身してる!」

確かにオレが書いた服装だ。赤いマントに黒いボディースーツ。…自分で書いといてなんだか、痛い。すごく痛い。

「まぁいい。ここからオレが大活躍って、のわぁぁ!」マントを踏んで転んだ。

カッコワリー!「のわぁぁ」ってなんだよ!初っぱなから転ぶ奴がおるか!

次の瞬間、鬼の大群に踏まれた。もうさんざんだ!

逃げたい。あぁーあ、この服が真っ暗な深い暗闇だったらなぁー!

そういえば鬼どこいった?

オレの前方数メートルくらいのところで鬼たちとアケチさんたちが戦っていた。

次の瞬間、アケチさんの前に突風が起こった。どうやらあれがアケチさんの能力らしい。

マジか、むちゃくちゃ強いじゃん!

さらにクドウ君の服から大量のナイフが飛び出し、不自然に動き回る。

ものを磁石にする能力だと自分でいっていた。

器用過ぎだろぉぉ!何あれ!ピンポイントで回転するナイフを鬼に当てるとか!

あっという間に30体程の鬼の大群が全滅した。

「班長たちが心配です。急ぎましょう。」とアケチさんが声をかけてくれるまでオレは転んだままで唖然としていた。

アケチさんの提案に従いミワさんたちを探しに向かった。

ミワさんとニシノさんがいたのは、鬼ヶ島の中心。

そこには他と違い、多少草木が生えていた。

ミワさんたちはオレたちの戦った鬼より大型の鬼と戦っていた。

「マジかよ、ありゃオーガだ。」そういっているクドウ君はかなり怯えていた。

オーガ。それはゲームにもよく出てくる鬼の上位互換。身長は2メートルぐらい。それが50匹はいる。確かになかなかホラーである。

「とりあえず様子を見ましょう。」

さすがのアケチさんも驚きを隠せていない。

しばらく茂みに隠れて様子を伺っていると、オーガのうちの1匹が突然燃えだした。

呆気にとられているとオーガを燃やした火が動きだし、巨体な人形になった。

ニシノさんの能力である。

少しでも火があれば身にまとい、自在に変身できるようになる。

そのニシノさんの攻撃が必中しているのは、ミワさんのおかげだろう。

ミワさんは未来予知と念写ができる。それで、オレの不幸も知ってたらしい。

オーガの行動を予知しているのだろう。

こちらもさっきとかわらず瞬殺だった。

社長さんはなぜオレなんか雇ったのか、疑問が余計におおきくなった。本当になんでだ?

「だいたいは駆除できたか。」

ミワさんはそういうと服についた砂ぼこりをはたき落とした。

さっきから鬼の気配がない。確かにだいたい駆除したみたいだ。

いきなりミワさんが叫んだ。

「飲みに行くぞぉぉ!!」「「「おぉぉ!!」」」

オレとニシノさんとクドウ君がハモった。

オレは何もしてないが今日は久しぶりに疲れた。何もしてないが。

ちょっとまて、結局オレの能力でてなくね?え、なんで?

まぁ いいや。考えたら負けな気がしてきた。

居酒屋

「おい、醤油とってくれ。」「はい!」

「こっちにもくれ。」「はいはい!」

やっぱり一番後輩のオレが雑務をやるべきだと思い、さっきからこうしている。いや、社会は厳しいものだと思い込んでいるだけなのだろうか。

「誰か一発芸やれよぉ。」酔っ払ったニシノさんがいいだし、一発芸大会がはじまった。

そしてオレの番、なにするかな。よし、財布を消すマジックをしよう。手が肩とかから出てきたら受けるだろうけどそこまではできない。

「今からこの財布を消しまーす!」「「「いいぞ!」」」

「321そぉりゃあー!!」

財布を黒い布に突っ込んだ瞬間、財布を持った右手ごと突き抜けた。

おかしい。布に触れた感触がない。でも、布に穴は空いていない。どこいった?オレの右手?

「おいwwそれはねーだろwww」

なぜかみんなオレの左肩を見て笑っている。左肩がどうしたって……

「なんじゃこりゃぁー!!」

手が!左肩から右手が!なんだこれ。

布から手を抜くとそこには右手がちゃんとあった。

「何これ?ミワさん何これ?」「おそらく才能が覚醒したんだな。」

その後、別の布でやってみたりしたがもうできなかった。黒い布のときだけ、成功した。空中でも箱の内側でも「ここだ!」って決めたところに穴が出てきて、そこから通した部分が出てきた。

なにこの能力。全然戦力にならんやん。

この時はまだなにも知りませんでした。このなんの戦力にもならん才能で過酷な労働環境のもと、死に物狂いで金を稼ぐ羽目になるとは、知るよしもありませんでした。

次回は小説を書く前に考えたキャラ設定をネタバレしない程度に書こうと思っています。

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