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プロローグ
駅前にある都会的なキャンパスからは、美しく若い女たちの高い声が聞こえてくるようだ。
私も10年前はあそこにいたんだ。
楽しそうに並んでおしゃべりをしている彼女たちとすれ違うと、なぜか掌がじっとりと汗ばんでいることに気がつく。
彼女たちは私の不安な気持ちを呼びさます。
小さい頃は色んな夢があった。
それを1つずつ諦めていくような人生だった。
気がつくと自分はからっぽの人間のようだ。
意識が過去にとび、気持ちがいらつき、何故か涙がこみあげてくる。
「いい歳して、本当に子どもみたい‥」
自分のことを冷たくつぶやいていた。
今日の夕食はコンビニで好きなものを買おう。
季節限定フレーバーの炭酸水と玄米おにぎり、カボチャのスープ。
これからも人生は続くのだから‥