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瞼の裏  作者: ふふふ!フレッシュ!ふふふフレッシュ!ふふふフレッシュなふたなり。いかがですかぁ〜いかがですかぁ〜ととととれたてのチンポッに〜
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もう一回だけ歯の入れ替わりしてほしい。

永島誠は今日も電車に揺られ帰路についていた。電車の中はサラリーマンが沢山いてスマートフォンを見る者もいれば、瞼を閉じている者もいる。学生もチラホラいるが、やけに大きいリックを背負いながらスマートフォンを見ている。永島は電子機器を長時間眺めても頭が痛くならない同世代の人間を羨ましく思っており、今自分が開いている読めるわけがないのに背伸びした大学のテキストを読んでいることに劣等感を覚えた。だから、たまに妄想に耽る癖もある。電車で起こりうるはずはないことだが、もしかしたら起こるかもしれないギリギリの妄想が劣等感の逃げ場であった。今も隣に座っている老人が突然苦しみ出し倒れた後に自分が老人を助けるという妄想を瞼を閉じ、その場面を想像していた。(まずは…大丈夫ですか?と意識を確認、気道が確保されてるかを確認きたのち、周りの大人に頼る。しかし誰一人として適切な処置を知らないため俺一人の判断で老人は息を吹き返す。そして最後には俺は表彰され、ニュースやテレビ番組に出る。)妄想する時間は現実の時間とズレが起こる物で、妄想を止めたときに、乗り換え駅にすら付いていないことに落胆する。しかしながら、この妄想こそが永島の願望であり、その過程にある面倒なことすべてをすっ飛ばし、得られる幸福感だけを抱きしめていたいということだろう。(妄信的だ)そうとも永島は現実ではないことを現実に戻ったときに理解する。そうすると、避けられない脱力感と現実の厳しさに思いを寄せ、死にたいとだけ、ポツンと思うのだった。劣等感が幸福感へ、それらが現実に還元されたときに死という形で目の前に現れ、永島は、それこそが世界であると言い続けている。(つまりは生きるために言い訳。俺にはピッタリだ。)永島は自分の無力さを知っていたため、それを上手く生に結びつけている。さて、悲しくなった永島は生きているという実感を持ち少しだけ心が落ち着いた。(乗り換え駅に着くまでテキストを読み進めよう)そうしてまた、繰り返し。


乗り換え駅に着きホームを抜けたあたりまでは良かったが、喫煙所に入ったときに何か得体の知れない現実を見た。誰もが他人に目を向けず暗い空を見るか、灰色のコンクリートを見ている様は現実であることを母のような手ほどきで教えてくれる。誰も干渉せずとも喫煙所という空間でくくられていて、その中では誰もが自分の事を考えているだろう。永島はメビウスという銘柄のタバコを口に咥え手で覆いながら火を点けた。(血が透けて見える)皮膚が薄いことの発見であり、その皮膚を触れ合う事のない永島は、つい下を向いてしまった。この動作に心理学的な要素があって、その法則を理解したとしても何も変わらずに時間は経過していく。ジジジと燃える音を聞き、今日もマクロ的視点でみれば何も起こらなかったと失望した。永島は産まれた時からニートとしての素質を持っていたのだ。だから今も行動せずに、それに伴った感情すらないので、空っぽであると感じる。電車で隣に綺麗な女性が座ったならば喜び、満員電車で女性と接触したなら体が熱くなる。雨が降ったならば、また空っぽを感じる。これ以上絞っても何も出ない雑巾のような気持ちになるのだ。(煙は夜に混ざり合うことはなく、空を茶色に染める事はないのか。)永島はタバコを吸い終わると、また電車になるわけだが、彼はいつも、立ったまま電車に乗るのは面倒だと思い、いつも1つだけ電車を遅らせてる。そして電車が来るまでに死ぬ方法を考え、恐怖に煽られに行くんだ。(ホームから落ちれば死ねるのかな)この死への想いは自らの手では叶えられないと知っている永島は、人間を吐き出す電車を見て一人で笑うのだ。そうして今度は飲み込まれていく。電車内は一定の空間を保つために人間たちが、せっせと逸脱を認めない。利己的な人間でなければ、誰もが自分の逸脱に気づき、顔を真っ赤にして自分の足元を見るものだ。(結婚したい)誰と?(可愛い子)どんな?(知らない)知らないんだ。

最寄駅へと到着した。

杯半

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