ジャンプキックは控えめに
飛べ!
気づいたらレベルが上がってた。
ステータスが見られないのは辛いけど、頭の中で、
『レベルアップしました。現在のレベルは2です』
と声が響いた。
やっぱり<鑑定>とかそういうスキルが必要みたい。
とりあえずスキルはまだ手に入らない。
なぜレベルアップできたかというと、この目の前の大きな芋虫を何匹か倒したからだ。
緑色の芋虫は美味しかった。
……うん? 食べましたよ?
だって食べるものほかにないし……ちょっと野菜っぽくて美味しかったですよ?
えーと、ケイはっていうと……食べましたよ?
誰をって……いや、そういう意味じゃなくて、泣きながらこれを食べましたよ?
まあ、二人とも半分ハエ男だし半分カエル女だから、そこはまぁ、大丈夫でしょう。
何が大丈夫で何が大丈夫でないかなんて、TPOで変わります。常識にとらわれては生きていけないのです。
実際、おなかすいて死にかけたし。
「ブンちゃん、これ全部食べちゃうよ」
……そう、女の子のほうがこういう時は強いのです。
あ、ブンちゃんってのは俺の名前。ブンジだからブンちゃんだってさ。ハエが飛ぶ音のブンブンからはとってないよ! きっと!
そういえば、羽根はあるけど飛べません。パタパタしてみたけど、寒いだけだった。
「ねえ、ブンちゃん、ここから移動しなくていいの? 芋虫だけだと飽きちゃうと思うんだけど……」
え? そこなの? 移動する理由?
「ええと、とりあえずもうちょっとレベル上げないと、芋虫なら倒せるけど……ね?」
「……ふ~ん」
指とかぺろぺろしないで欲しい。芋虫の汁的なやつがアレっていうより、ケイの舌を見ると、背筋が凍る。
だって、俺、ハエだし。ケイ、カエルだし。捕食者ってやつ?
あ、でも、ケイの攻撃はすごかった。さすがカエル、結構高くジャンプして、1メートルはある芋虫をげしげしと蹴っていたのだ。
かっこよくてドキドキしてしまった。
……決してスカートでジャンプしてたからドキドキしたんじゃないですよ? 本当ですよ?
俺は俺で、芋虫の、身体を使った鞭みたいな攻撃をひらひら避けていたし。ハエって回避力高いんだね、と感心した。
あとは飛べれば言うことないのになぁ。
カエルの跳躍力は体長の5~7倍と言われています。知らんけど。
次話投稿予定>>2016/05/04 20:00 [超余裕で舞い、ハエのようなもので刺す!]
乞うご期待!