ハエ男の恐怖
出落ち感満載でお届けしますよ!
「一体なんなんだよ! これは!」
薄暗い場所で叫ぶ。
「……酷すぎる」
俺は手のひらをすりすりと合わせながら辺りを見ている。少し冷えるからだ。決して俺がハエだからではない。
……いや、ハエなんだけど。
背中には虫の羽が生えているし、目もおかしい。視線を合わせなくてもいろんな方向がきれいに見える。
あの女神、ドジっ娘って感じじゃなくて、しっかりしたお姉さんタイプだったのに……
肩にハエが止まってたからって、転移したら混ざるとかありえないだろ……
顔と身体を触った感じ、なんとか顔や身体は人間のままのようだが、変な触覚がついている。触るとくすぐったい。
Tシャツは混ざって羽根が生えたときに破れてしまったので、仕方なく上半身裸だったのだが、さすがにちょっと寒かったのだ。
「どっかに鏡ないかな……ないよな、ここ、ダンジョンっぽいし。」
とにかく顔が元のままなことを祈るだけだ。
洞窟のような、建物の中のような、広い通路が続いている。
幅が25メートルくらいで、高さも四階建ての建物くらいある。
「……これ、幅いっぱいの魔物とか出てきたら詰むよなぁ。とりあえず、現状確認しよう。もらったスキルは……どうやって使うんだ?」
女神に聞いた方法で試してみると、俺の貰ったスキル<闇魔法レベル1>が使えた。うんうん集中して、手を前にかざすと、出た。
「……ハエが飛んでる……」
俺の手のひらから出た蠅が、ぶんぶんと飛んで壁にぶつかり、そのまま黒い粉みたいになって消えた。
「だから一体なんなんだよ! これは!」
いやほんとになんなんだよ! これは!
次話投稿予定>>2016/04/30 20:00 [ごはんがたべたい女の子]
乞うご期待!