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秋がふけてゆく
ああ、神無月が終わってゆく
月の始めはまだ暑く
汗をかきかき、涼を待っていた
月の終わりは肌寒く
もう、冬がそこまで来ていると
言わんばかりの情景
コスモスは盛りを過ぎ
彼岸花も消えた
金木犀の香りも
野辺の小さな朝顔が
ほんのすこし、顔を穏やかな日の光にあたためている
桜の木は、赤を通り過ぎて茶色くなった葉を地面に落とし
柿の木は、鳥たちに熟した果実を与えている
ああ、ようやく冬が来るのだ
今年は真夏の始まりも
長い雨続きのあとだった
心配していたお米の出来もなんとか良くて
すこし高止まりしていた野菜の価格も
ようやくここに来てふつうのお値段になった
こうして、秋の実りがきちんとあって
冬を迎えてゆくことに
稲穂のように、首を垂れて
感謝するばかりです




