未来への道
(老婆の節)
無邪気な子どもよ、よくお聞き
この世界は素晴らしいし
たくさん良いところがあるけれど
それと同じか、いや、それよりも多いかもしれないと
嘆きそうになるくらいの悪いところもたくさんあるのさ
たとえばひとつ、戦争
戦争といえば、遠いところで起きることしか知らない
幸せな時代を、この国は70年以上も味わってきた
爆弾が落ちて大切な人が亡くなる悲しさも
ひもじくて飯をほかのひとと奪い合う悲しさも
若い人たちは、知らない人たちがほとんどだ
いや、それは本当に幸せなことなのさ
だけどね、これからは
ある日道を歩いていたら、突然、爆弾で吹き飛ばされてしまうかもしれない
銃で撃たれてしまうかもしれない
そんなことが、あるかもしれない世の中になっちまった
杞憂で済めばいいんだけどね
そんな世の中に、無邪気な子どもよ、気を付けて生きてお行き
(子どもの節)
おばあちゃん、おばあちゃん
心配しないで
どんなことがあっても、ぼくたち、わたしたちは
その時代を経験したくて生まれてくるんだよ
悲しいことがあったら
それを楽しいことに変えていけるように
もし、爆弾が爆発しても
怪我した人、死んでしまった人を悼んで
みんなで泣きます
そして、どうしたら良いか、みんなで考えていきます
おなかがすいて、自分だけで食べたくなっても、ごはんをみんなで分け合います
みんなが幸せに暮らせる世界を、ぼくたち、わたしたちは望みます
(老婆の節)
悪いことをもうひとつ
たとえば、海の汚れ、大地の汚れ、大気の汚れ
今までの都会の人間は、人間だけが暮らしやすい世の中を作ってきたのさ
草を枯らし、ごみを垂れ流し、自分だけはきれいにしたくって
そんなむちゃくちゃをしていたら、気候までおかしくなってきちまった
来年も桜は咲くだろうか、いつしかみんなそっぽを向いて
花の咲かない春が来るんじゃないだろうか
気が気でしかたないんだよ
(子どもの節)
おばあちゃん、おばあちゃん
大丈夫、みんなで一緒に、なんとかする方法を見つけるから
このあいだね、学校のみんなで、ごみ拾いをしたんだよ
ぼくたち、わたしたちの友だちもね
汚れたものをきれいに直す機械を作るって言ってるよ
未来に誇れるぼくたち、わたしたちでいられるように
汚れたところをすこしずつ、すこしずつきれいにしていきます
そうしたらきっと、いつまでも花は咲いてくれるよ
春 夏 秋 冬が いつまでも、いつまでも続きますように
(老婆、子どもの節)
未来よ、この世界を恐れずにやっておいで
みんなで一緒に考えて行動すれば
きっと道は見つかるから
良いことを考えて行動すればいいんだよ
そこが行き止まりの場所だったら
ちょっと戻って
新しい道を見つければいいんだよ