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遺跡
その遺跡は
ジャングルの奥にある
来る者も絶え
悠久の時を眠りについている
かつて、そこは首都だった
多くのひとびとが行き交い
神の化身である王が
きらびやかなピラミッドを背に
君臨していた
今はただの石ころの集まり
ピラミッドは
異教の徒に壊され
王の一族も散り散りになった
王は民を連れて
新たな地へ向かったとも
最後まで戦って
果てたとも伝わる
生き物の気配に満ちるジャングル
わずかに残るピラミッドの礎の上を
色鮮やかな鳥が飛んでゆく