57/160
桜の花びら
今年も咲いたよ
桜が咲いた
三日前の
ただのつぼみが
いつの間にやら
もう三分咲き
軽やかに
やって来た
清楚な姿
清楚な香り
風と雨とが
気になって
できるだけ
長い花の時期を
望むけど
咲いた花は
必ず散る
人の命のともし火も
必ずいつかは消えるように
桜の花に
命の脆さ、はかなさが
重ね合わさって見える
あの風に行く花びらは
きっとひとつの魂だ
空に吸い込まれて
天国に届く花びらもあれば
地に落ちて
幾多の靴に踏みつぶされた
無残な姿の花びらもある
木から舞う、小さな花びらたちが
できるだけ、天国まで届けと願うかのように
風は冷たいけれど
空は、晴れている
雲は、過ぎてゆく




