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梅雨の詩二編
「紫陽花という花は」
紫陽花が
雨のまにまに
咲いている
雲多き梅雨空の下が
お好みで
ほかの花のように
太陽に向かって
一所懸命花びらを広げたりはしない
そんなことは無粋でしょう?
とでも言うように
日陰で涼しく雨を喜ぶ
不思議な花
「梅雨と豪雨」
通り過ぎるかたつむり
羽化したばかりのアゲハチョウ
つばめはそろそろ旅立ちの準備
まだ朝晩は涼しいけれど
すぐそこに熱帯夜が迫っている
だけども今年は何か変
夕暮れに秋の虫が鳴いていて
秋の花のコスモスがすこし咲いている
このまま夏が来ないわけでもなさそう
梅雨の終わりは豪雨
特別警報が特別じゃなくなっている
これ以上の被害がないように
ただ祈るばかり




