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砂漠の踊り子
砂漠のほとりのとある町
シャラリシャラリと飾りを鳴らし
人の輪の中心で舞う乙女
勢いよく振り上げられたその手は
天にも届きそう
蠱惑の瞳は
舞いを見る人々を魅了する
タ・タ・タン
タ・タ・タン
リズムに乗せて
足が動く
おっと、子どもが飛び出した
乙女と子どもは一緒に笑い
天への祈りにも似た
ダンスを舞う
灼熱の地に生きる者たちに
ひとときの憩い
砂漠の熱風は
苛烈に彼らの生活を脅かす
漠然とした不安の中
それでも未来は良いものと
夢見て踊る
乙女と子ども
日々の重い労苦を担っていることを
しばしの間忘れる
ひとびとの輪
ああ、この踊りを見たからには
今日も明日も
精一杯に働こうと
決意を胸に
散会するのだ