8月の詩
8月の詩
77年前に
広島と長崎の空と大地と
家とひとびとを焼き尽くし
のちのちにまで放射能の苦しみを与えた
8月
沖縄で
4人にひとりの民間人が
戦火に焼かれ
あるいは、集団自決を強要させられて
あるいは死ぬべきという、洗脳のなかに
死んでいった
その地で
アメリカ・日本双方の戦死も
7万人弱
民間人を合わせて、広島・長崎と同じほどの数のひとびとが亡くなった
8月
47都道府県すべての地域が空襲を受け、家を焼かれ
逃げまどい、死んでいった民間人は300万人とも言われている
戦死をした兵士たちの立派な石碑はあちこちに建ったけれど
戦火に死んでいった民間人、無辜のひとびとの眠る場は
東京の千鳥ヶ淵霊園、
各地の平和公園、広島・長崎の被爆地
それだけしかないとは
戦争を忘れた子らが増えるのも
必然ではないか
そして、最近薄れがちなのは
大日本帝国の加害責任
中国、朝鮮半島、東南アジア
この地で虐殺をし、略奪をし、婦女を暴行し、今ならばウクライナにて
捕虜となり、国際法で裁かれるロシア兵のように
苦しみを与えたこと、それを忘れようとしているかにも見える
北朝鮮の拉致被害者の方の、願いである
すべての拉致被害者の帰還を
本気で交渉するならば、
かつて北朝鮮と韓国の地のひとびとに与えた苦しみの数々を、決して忘れないと
例えば、千鳥ヶ淵には、日本の地で亡くなった、朝鮮半島のひとびとや
すべての戦争犠牲者に対する祈りの場があるので
ここに、朝鮮半島のひとびとや、中国や、東南アジアの犠牲者の碑を
建てることを話し合ったら良いのでは
日本の首相が千鳥ヶ淵を、毎年訪れるのは、そういうことなのだと
毎年、世界のひとびとにも伝われば良い
世界が平和になる、そのときまで
いや、世界が戦争の惨禍を忘れないために、とこしえに
8月を日本では慰霊の月として
原爆の月、沖縄で原爆と同じだけのひとびとが、死んだ月
日本各地のひとびとが、空爆でその何倍もの数、死んだ月
8月の詩は
お盆に帰る、彼らのために
苦しみを、大日本帝国の兵士から
与えられて死んでいった、世界の無辜のひとびとのために