夢語り
「夢」ってひとを、コテンパンに
傷つける原因じゃあない?
え、なんで?
だって、スポーツ選手とか、憧れの職業になるとか
そんなの、なれるひとはほとんどいないじゃん
え、わたしの夢って、おいしいパンを作ってみたいなんだけど
ホームベーカリーがあれば、とりあえず作ってみることはできるよね
「夢」ってそんなに小さくていいの? なりたい職業が夢じゃなくて?
小さくて、いいんだよ
あんなふうに生きてみたい、っていう憧れと
今日をちょっと楽しくするための目標
どっちも大切な「夢」なんだよ
憧れの職業に向かって、嫌なことも我慢して努力するのが「夢」じゃないの?
それがなかったら、悪い、出来損ないの人間になるんじゃないの?
それは誰かが君に、従ってほしくて言う「夢」だよ
叶ったらいいなと思うこと
そのぜんぶがほんとは「夢」なんだから
自分のほんとの気持ちは何?
その問いに疲れ切って「休みたい」も「夢」なんだよ
休みたい、は意外と忘れられがちで
スマホやパソコンをいじる手をやめて
散歩したい
旅行したい
そういうちいさな「夢」で、来週とか来月とか
近いうちにする、そういう感じも許しちゃえ
大きな大きな一生の「夢」だけが
ほんとの「夢」じゃあないんだね?
生きていることが夢みたいなものかもしれないよ
おいしいものを
美しい景色を
気の許せるひとびととの語らいを
絶対零度の暗闇の中に浮かぶ、この地球で体験できること
そのひとつひとつが大切な
眠るときの「夢」となり
いつか、宝石にも勝る宝のように思い出せるものになるのかも
大きな夢がひとつ、じゃなくていいんだね?
あ、あれやりたい! は
いくつあったっていいし
もう、何もしたくなくて
ちょっと休みたい
すごく休みたい
そういう夢も
夢なんだよ